採択プロジェクト
2026年3月31日
- 設立支援
サステナブルな生物多様性を保証するグローバル獣医学連携
プロジェクト名
サステナブルな生物多様性を保証するグローバル獣医学連携
代表者
山岸 則夫(獣医学研究科)
共創メンバー
【学内】
| 氏名 | 所属 |
|---|---|
| 三宅 眞実 | 獣医学研究科 |
| 山﨑 伸二 | 獣医学研究科 |
| 日根野谷 淳 | 獣医学研究科 |
| 桑村 充 | 獣医学研究科 |
| 嶋田 照雅 | 獣医学研究科 |
| 松林 誠 | 獣医学研究科 |
| 金子 武人 | 獣医学研究科 |
| 横井 修司 | 農学研究科 |
| 和田 崇之 | 生活科学研究科 |
| 星 英之 | 現代システム科学研究科 |
【学外】
| 氏名 | 所属 |
|---|---|
| 向井 猛 | 地方独立行政法人天王寺動物園 |
| 岡橋 要 | 地方独立行政法人天王寺動物園 |
| 安福 潔 | 地方独立行政法人天王寺動物園 |
| 市川 晴子 | 地方独立行政法人天王寺動物園 |
| 高見 しずく | 地方独立行政法人天王寺動物園 |
| 高見 一利 | 豊橋総合動植物公園 |
| Wayne BOARDMAN | アデレード大学(オーストラリア) |
| Lidwien VERDEGAAL | アデレード大学(オーストラリア) |
| Kandarp PATEL | アデレード大学(オーストラリア) |
| 村田 純子 | 大阪府立大手前高等学校 |
| 吉田 憲司 | 大阪府立大手前高等学校 |
活動内容
本プロジェクトの目的は以下の3点である。
(1)地域社会への浸透と行動変容の惹起
人類共通の課題である「生物多様性」の本質的な意義を地域社会に浸透させ、地域住民が保全に向けた行動へ踏み出す動機付けを行う。
(2)意識と行動のギャップ解消
生物多様性保全の重要性についての認識を実際の行動に結び付けるためのギャップ(障壁)を取り除く。
(3)持続可能な体制の構築
行動を一過性なものにせず、次世代へ継承されるサステナブルな仕組みをプロジェクトに内蔵する。
なお、上記(1)の「生物多様性(Biodiversity)」(以下、BD)の本質をわかりやすく社会に説明し行動変容を起こさせる動機づけ要素として「One Health」(以下、1H)アプローチを活用した。以下ではBDと1Hの概念を融合した考え方を「BD1H」と称す。
2025年度の活動では、以下の「仕組み」を整えることを目指し活動した。
-
- BD1Hの概念に紐づけられる学内の関連研究者を募り連携体制を作る。
- BD1Hの概念に関し協同して取り組める海外連携先を選定し、その海外研究者を連携メンバーに加える。
- 長い歴史の中で地域社会に溶け込んでおり、BD1Hの概念と非常に相性の良い施設、「動物園」を学外連携先に加え、専門性の高いスタッフをメンバーに加えるとともに、動物園を本プロジェクトの情報発信窓口として活用する。
- 上記、学内メンバー、海外メンバー、動物園メンバーの持つ専門性を活かし、BD1Hに関する情報を地域社会へ発信する。
- サステナビリティを保証するために、若い世代(特に中高生)をターゲットにした仕組みを整える。具体的には大阪府内の高校を連携機関に加え、高校の持つプログラムに本プロジェクトの活動を融合させる。
- BD1Hの重要性を体感させる国内フィールドを開発し、プロジェクト内に組み込む。また海外にも体験フィールドを設けて、広い視野と国際性を養う体験型プロジェクトに展開するための素地を整える。
結果として(詳細は活動成果に記載)、本学メンバーに天王寺動物園とオーストラリアのアデレード大学動物・獣医学部を加えた3者連携プラットフォームを構築した。また、必要となる仕組み整備のためにアデレート大学の連携研究者を日本に招へい、今後の連携を深化させるための様々なアイデアについて討論した。中高生をプロジェクトに関与させる手段として、大阪府立大手前高等学校を連携機関に加え、座学とフィールドワークを一体化させた学習会を実施した。さらに天王寺動物園を地域への窓口としたシリーズセミナー(全8回)を企画、1月より活動を開始した。

山岸 則夫教授(代表者)

三宅 眞実教授(研究統括)
活動成果
2025年度に得られた成果は以下の通りである。
(1)共創研究グループの設立
共創研究「BD1H」の事業内容に共感する国内学のメンバーによるグループを結成した。最終的に、本学、天王寺動物園、アデレード大学の3機関をコアに据え、大手前高校を提携機関として体制を固めた。
(2)海外連携研究者の招へい
BD1H事業の全体像を共有するために、高い専門性を持つアデレード大学の連携研究者3名を大阪に招聘、以下の3つの成果を得た。
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- 天王寺動物園との関係構築
天王寺動物園にてBDに関する講演会を実施(担当者:Boardman博士)、日本と豪州の異なる立場からBDへの取り組み状況と問題点について意見交換し、今後のBD1H事業への両者の関与のあり方について議論した。 - 大手前高校との関係構築
BD1H事業に対する大手前高校のニーズを聞き取り、アデレード大学メンバーと共有、以下⑤に述べる高校生を巻き込んだBD1H事業の海外展開への道筋をつけた。 - 本学との関係強化
アデレード大学メンバーと本学メンバーとの間で、研究内容の共有と交流を図る「Roundtable」を実施、メンバー間の相互理解と関係強化を達成した。さらに本学施設案内や関係者(学長他)との意見交換会を実施、2大学間の学術交流協定(MOU)締結へ向けて協議を行なった。
- 天王寺動物園との関係構築
(3)大手前高校シリーズセミナー
大手前高校にて、座学とフィールドスタディからなる「大手前高校シリーズセミナー」を開催した(2025年11月8日および12月13日)。座学でBD1Hに関する情報を提供後、参加した高校生が自ら課題設定して天王寺動物園内でフィールドスタディを行った。座学には生徒21名が参加、その内18名がフィールドスタディにも参加し、アンケート結果からこの企画への興味の高さが確認できた。
(4) 天王寺動物園シリーズセミナー
天王寺動物園と本学との共創企画「天王寺動物園シリーズセミナー」を開催(2026年1月17日〜3月1日)。8名の講師による毎週開催のセミナーで、多くの地域住民が参加し、高い関心が寄せられるなど、好評のうちに終了した。
(5)大手前高校×アデレード現地高校の交流
BD1Hの海外展開事業として、アデレード市内の「アデレード植物高校(Adelaide Botanic High School)」との連携構築を進めるアイデアが提案された。すでにアデレード大学はアデレード植物高校とBD関連フィールドスタディを実施しているが、ここに大手前高校生を加えた形へ進化させる。かつ両高校間でBD1Hをテーマとする国際交流を推進する。この連携コーディネーターとしてBoardman博士の協力が確約され、2026年4月からその交渉を開始する。
(6)大手前高校教育プログラムとBD1Hプロジェクトとの共創
大手前高校が実施するスーパーサイエンス(SSH)事業にBD1H事業メンバーがより積極的に関与し、生徒の国際性や研究マインドを高める提案に合意が得られた。具体化に向けて協議中である。
概念図

今後の活動計画
2026年度は3つの点に注力し、2027年度以降の活動につなげる。
(1)大阪からアデレードへの訪問団派遣
2026年度内に国内プロジェクトメンバーにて訪問団を結成し、7月から9月の間で1週間程度、豪州アデレード市を訪問して以下の課題に取り組む。
-
- BD1H関連セミナーの開催
アデレード都市部の会場にて、1日間のセミナーを開催する。セミナーは一般公開形式とし、BD1Hに関する日本人メンバーと豪州内の大学教員・研究者の双方から講演者(8名程度)を選出して、一般市民にわかりやすい講演を行う。またセミナー会場で大手前高校生の有志によるポスター発表の機会を設け、これに参加する大手前高校生を募集、生徒の自主的なBD1H関連研究意欲を高める。 - BD1Hシンポジウムの準備
2027年に開催を計画するシンポジウム(下記参照)の、会場選定作業、具体的な日程検討、必要予算検討等を行う。 - アデレード植物高校との連携
アデレード地区におけるBD1H体験フィールド(郊外の野生動物観察地、アデレード動物園、サファリパーク等)の状況について調査する。 - 海外フィールドの開発
アデレード地区におけるBD1H体験フィールド(郊外の野生動物観察地、アデレード動物園、サファリパーク等)の状況について調査する。
- BD1H関連セミナーの開催
(2)シリーズセミナー・フィールドスタディの継続
2025年度に実施した大手前高校や天王寺動物園を対象としたシリーズセミナーやフィールドスタディを継続して行う。
(3)企業などとの連携模索
BD1H事業を長期に渡り継続するために、企業との連携と支援を受けることが必須である。2026年度は様々なチャネルを利用して企業連携を模索する。これにはURAセンターなど企業連携に経験を有するメンバーを渉外担当に据え、BD1Hに親和性の高い企業にアプローチする。
2027年度以降
(1)BD1Hシンポジウムの開催
BD1Hに関するシンポジウム(市民参加型)を2027年にアデレードで開催する。日程は2日間、日本と豪州の抱えるBD1H共通トピックスに対し、2国から対話形式の講演を企画する。これによって両国が抱える課題に対する解決策を模索する。同じシンポジウム内で高校生によるBD1H関連の取り組み事例を紹介する(ポスター展示)。優秀な取り組みについては口頭発表する機会を与える。
(2)シリーズセミナーの継続
2027年度も継続実施する。
(3)フィールドスタディの開催
さらに充実した内容にした国内外でのフィルードスタディを継続実施する。
(4)大手前高校SSプログラムとの連携
大手前高校がSSプログラムで自主的に取り上げる研究テーマにBD1H関連テーマを取り上げることを推進・サポートする。また生徒の取り組みに対し、情報提供や助言、研究機材提供など様々な方法で支援を行う。
(5)企業などとの連携模索
引き続き企業連携を模索、支援企業の拡大を目指す。
(6)動物園機能の充実
地域への窓口たる動物園の機能充実を図る。