採択プロジェクト
2026年3月31日
- 設立支援
大阪市の健康寿命延伸に向けた地域・職域連携推進の基盤構築
プロジェクト名
大阪市の健康寿命延伸に向けた地域・職域連携推進の基盤構築
代表者
都筑 千景(看護学研究科)
共創メンバー
【学内】
| 氏名 | 所属 |
|---|---|
| 安本 理抄 | 看護学研究科 |
| 薮本 初音 | 看護学研究科 |
| 大藤 さとこ | 医学研究科 |
| 松浦 知香 | 医学研究科 |
【学外】
| 氏名 | 所属 |
|---|---|
| 生野 淑子 | 大阪市健康局健康推進部 |
| 揚 久恵 | 大阪市健康局健康推進部 |
| 天野 こころ | 大阪市健康局健康推進部 |
| 伯井 理加 | 大阪市健康局健康推進部 |
| 僧都 薫 | 大阪市健康局健康推進部 |
活動内容
計画1:データに基づいた健康課題の明確化:大阪市国保と協会けんぽの特定健診データセットの作成
- 働く世代の健康課題について根拠をもって明確化し、EBPMに基づいた政策形成につなげるため、区別データの見える化を目的に、大阪市国保と協会けんぽの特定健診データを統合したデータセット作成を計画した。
- データ提供に必要な手続きについて協議し、大学と大阪市とは共同研究契約、大学と協会けんぽおよび大阪市と協会けんぽ間で覚書を締結した。
- 特定健康診査は要配慮情報のため、2025年9月に倫理審査委員会の承認を得た。
- 特定健康診査データの取り扱い及び保管、授受方法等について、大学と協会けんぽ、委託業者間で協議した。
- 関係者間で書面を取り交わし、ホームページにて市民向けオプトアウトを掲載した。
- 双方のデータ項目の整理、分析方法および見える化資料について、共創チームと協会けんぽで吟味し、適宜、委託業者とすり合わせを実施した。
計画2:地域・職域保健実務者会議の機能強化
- 2025年度の会議開催にあたり、会議を課題解決に向けた議論の場として再構築し、現在の課題と会議の活性化に向けた検討を共創チームとともに開始した。
- 例年1回の会議を2025年度は2回計画。1回目は、会議の事前準備として事務局から委員の所属組織に対しヒアリング行い、その結果をもとに会議テーマを設定し、グループワークを実施した。
- 会議での振り返りから、新規部署の参入に向けた活動と連携が検討され、企業支援を行う部署からのメールマガジンによる健康情報発信が決定した。2回目は書面会議により、これらの経過が報告された。
- 地域・職域連携の先進自治体の視察を実施し、地域・職域の展開について実践的知識を深めた。
- 此花区でモデル的に地域・職域連携推進活動を開始。区内の業種団体と連携協定を締結、健康経営を活用した健康づくりおよびアプローチ方法を検討した。
- 上位会議である 「すこやか大阪21(第3次)推進会議」にて、地域・職域連携に関する議題を設定し、必要性及び活動内容、次年度計画について報告した。(大阪市資料①)
- 大阪市重点予算として、「働く世代の健康づくり支援事業」の予算を獲得。2026年度から市内中小企業への健康経営導入支援を開始予定。
活動成果
大阪市との共同研究では、長期的指標(5年間)を「健康寿命の延伸」、短期的指標(1年間)を「実務者会議の機能強化に関する質的評価」に設定した。2025年度は、これらに関する記録物と関係者へのインタビュー調査により評価した結果、以下の成果が得られた。
1.実務者会議のレベルアップとネットワークの拡大
実務者会議は、従来の情報共有や事業紹介から連携・情報共有を意識した場へと移行の兆しが見られた。事務局が方針をもってリーダーシップを発揮する側に転換し、課題設定や次につながる議論が展開された。また、実務者会議に向けたヒアリングにより、関係機関相互の理解が進んだ結果、会議への新規部署の参加が決定した。企業支援機関との庁内連携も進展し、協会けんぽとの覚書の締結に至った。さらに、新規部署の参入と庁内外のネットワークが拡大された。
2.実務者会議事務局の実行イメージや方向性の明確化
大学とともに本事業に取り組んだことにより、地域・職域連携に関する知識や意義、考え方が理解され、行政としての役割意識や取り組む必要性、意義を確固たるものにできた。地域・職域危機連携推進は行政の仕事であるととらえ、仕組みを意識した体制の必要性を認識し、担当者の認識や方向性がぶれなくなった。
3.大阪市における地域・職域連携推進事業の位置づけと機運の向上
区長会や庁内課長会議、実務者会議の上位会議「すこやか大阪21(第3次)推進会議」において、地域・職域連携推進の必要性をアピールしたことで、徐々に庁内での地域・職域連携の認識が向上し、存在感のある事業へと進展した。また、モデル区として此花区への支援を開始したことで、本庁と区の役割を整理できた。さらに、健康経営を切り口にする有効性を理解し、施策としての重要性を明確化した。
4.大阪市重点予算「働く世代の健康づくり支援事業」の開始
大阪市重点予算を獲得したことにより、2026年度から新たに「働く世代の健康づくり支援事業」が開始される。この事業により、中小企業の健康経営を後押しする仕組みが構築され、大阪市が目標とする健康寿命の延伸に向けた地域・職域連携のより一層の推進が期待できる。
(リンク 報道発表資料「大阪市健康経営応援プロジェクト~OK!プロジェクト~の開始について」大阪市ホームページ)
https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kenko/0000679580.html
5.大阪市国保と協会けんぽの特定健診データを統合した大規模データセットの完成
2026年1月にデータセット(約27万件)が完成し、3月に集計および見える化資料を作成した。より広く大阪市民をカバーしたデータによって、EBPMに基づく健康課題の明確化が可能となった。今後、区別や業態別の特徴把握によるターゲット層の絞り込みと効果的アプローチの検討に寄与することが期待される。
都筑 千景教授
概念図

今後の活動計画
共創研究グループで取り組んだことにより、大阪市の地域・職域連携は着実に進展した。今後は研究成果に基づき、重点予算「働く世代の健康づくり支援事業」を軸にした効果的な地域・職域連携推進を実装する。
大阪市資料①
1. 重点予算「働く世代の健康づくり支援事業」の展開
本事業は市内中小企業を対象とした健康経営導入支援を委託業者が実施するものである。共同研究として、大阪市とともに事業の進捗状況を共有し、モニタリングや効果検証を行っていく。
2. 2025年度に作成した大規模データセットの深堀分析
大阪市国保と協会けんぽの特定健診データによる大規模データの集計と分析が3月に終了。1次分析が中心のため、このデータを深堀し、業態や区別、属性など様々な要素との関連を検討する。
3. 働く世代の健康づくりを支えるネットワークの強化
大阪市・公立大学・協会けんぽをはじめ、市内の企業にかかわる関係機関及び団体との連携強化とネットワーク拡充を図る。また、各区においても地域・職域連携に取り組んでいけるよう、情報提供や研修、実務者会議への参画等、各区の状況を踏まえて段階的に検討していく。