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2022年9月7日

カリフォルニア大学デービス校獣医学部へ留学体験記(木村)

私は、アメリカのカリフォルニア大学デービス校(UC Davis)・獣医学部へ3か月間、研究留学をさせていただきました。この留学は、私たちが行っているイヌのiPS細胞の研究に、留学先のラボの先生が興味を持ったことがきっかけで実現しました。留学先の研究室でもイヌのiPS細胞に関する研究を行っており、私はそのプロジェクトに参加させていただきました。私たちが苦労して書いた論文を読んでくれている人が世界に確かにいて、こうして一緒に研究できる機会をいただけたことが非常にうれしく、感激しました。

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アメリカでの研究生活で特に印象に残ったことは、研究室の雰囲気の違いです。研究室のあるフロアは広い大きな部屋になっていて、複数のラボのスペースがつながっていました。そのため、ラボの所属に関係なく、学生やポスドク、教員が日常的に研究について議論したり、雑談したりしていました。私もラボ外の人ともたくさん話をすることができました。そのような環境が私には非常に魅力的に感じました。

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 ボスの先生は米国獣医臨床病理専門医であったため、臨床病理のコミュニティにも参加させていただきました。そこでは、獣医教育病院の見学や臨床病理のラウンドと呼ばれる勉強会への参加、実際の疾患罹患動物へ臨床治験の様子を目にすることができました。アメリカでは非常に多くのスタッフや教員がおり、彼らが学生に教えている光景を教育病院の中で頻繁に見かけました。また、多くの臨床研究や臨床治験行われており、教育、臨床、研究が文字通り両立されており、本当に素晴らしい環境だと思いました。

アメリカの人たちは、プライベートの時間をとても大事にしており、仕事とのメリハリをはっきりとつけていたことが印象的でした。休日にラボに行ってもほとんど人がおらず、最初は非常に驚きました。そのことをボスの先生に話すと、日本人はまじめでハードワーカーだということは知っているしリスペクトするが、研究をうまく進めていくためには、休日に体や気持ちをしっかりリフレッシュし、休むこともとても重要だと諭していただきました。それ以降、現地で出会ったさまざまな人たちと積極的に交流し、休日には現地でできた友達とともにたくさん観光にも出かけました。いろんな国の人たちとの交流を通して多様な価値観に触れるとともに、日本ではなかなか目にしないような自然や街並みを肌で感じ、有意義でとても楽しい時間を過ごすことができました。

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この3カ月というアメリカ短期留学は、私のこれまでの人生で最も濃い時間であり、これからの人生観をも変えうる貴重な体験となりました。今後この経験を活かして研究や臨床、プライベートすべてを充実させられるよう精進したいと思います。最後にはなりますが、このような貴重な機会を与えてくださった日本学術振興会の関係者の皆様、UC Davisの受入研究室の先生やメンバーの皆様をはじめ、私を助けてくださった皆様、細胞病態学教室の先生やメンバーの皆様に厚く御礼申し上げます。

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