大学院生募集

細胞病態学教室では、犬や猫の再生医療や細胞治療に関する研究に関心のある大学院生を募集しています。

・自律的に問題を発見し、解決策を考え、行動・実践していくことに共感できる学生を歓迎します。 皆さんの行動力と独創性に期待します。

・臨床センターでの診察を通して獣医療の問題点を認識し、それを研究で解決・応用することを目指しています。

・当研究室に関心をもたれた方は、気軽に質問してください。研究室訪問も大歓迎です。

 

Q: どのような研究テーマがありますか?

主なテーマは、犬や猫の腫瘍免疫(杉浦)、再生医療(鳩谷)が中心となります。
詳細は、各教員にお問い合わせください。
 

Q: 奨学金等はありますか?

大学院生は、入試成績、研究の進展度などに応じて、以下のような経済支援が受けられます。
•授業料:一部、補助あり
•日本学生支援機構:返済必要 1種 約12万/月
→優秀な学生には返還免除あり
•JST助成事業「次世代研究者挑戦的研究プログラム」:本学博士課程で審査・採用:年200万の生活費+研究費年20万+留学支援
(現在、当研究室の多くの院生が受給)
https://www.osakafu-u.ac.jp/news/nws20210908/
•学振特別研究費(PD・DC2・DC1):全国大学院博士学生で審査により採用された場合 月20万円の生活費+研究費年100万
https://www.jsps.go.jp/j-pd/pd_gaiyo.html
(当研究室の院生採用実績あり)


Q: 入試について、もっと知りたいのですが。

本学ホームページ(http://www.upc-osaka.ac.jp/new-univ/admissions/g/exam_info/graduate/gs_vs.html)をご覧ください。

大学院博士課程修了生から

塚本さん.JPG

 塚本 雅也

2019年4月~ 日本学術振興会 特別研究員DC1

2022年3月 学位授与

2022年4月~2024年3月 国立育成医療研究センター研究所で研究員(日本学術振興会 特別研究員PD)                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      

私は、2つの理由で細胞病態学研究室に入室しました。

一つ目は、イヌやネコの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた研究に興味があったからです。iPS細胞は、体細胞を初期化することで誘導され、無限に増殖する能力をもちます。さらに、様々な体細胞へ分化する能力を有しています。そのため、iPS細胞から分化させた細胞を用いることで、根治療法のない疾患に対して新たな治療法を提案することができます。イヌiPS細胞をあつかう研究室は、世界的にも非常に珍しく、私にはとても魅力的でした。

 二つ目は、獣医臨床センターへの参画が可能であったことです。原因がわからず大学病院を受診する犬や猫が多く、臨床センターでは確定診断に至る過程やその治療法を学ぶことができます。また、臨床を経験することは、iPS細胞研究を行う上で、非常に重要だと考えます。iPS細胞はあくまで研究ツールであり、研究の目的は疾患に苦しむ犬や猫を治療すること、犬や猫の健康を維持することです。そしてその研究目的を達成するためには、臨床の現場を肌で感じ、何が求められているかを理解する必要があると思います。

以上のような理由で博士課程へ進学した私は、大学院生活で獣医臨床センターの診療に参画し、臨床の勉強をさせていただきながら、イヌiPS細胞に関する研究を行いました。

イヌiPS細胞の作製は世界的に困難だとされており、私が研究を開始した当初は、応用研究に使用できるほど高品質なイヌiPS細胞は作製されていませんでした。一方、当研究室における獣医再生医療研究の歴史は長く、イヌiPS細胞の作製についても数多くの経験や知見が蓄積されていました。そこで私は、蓄積された知見をもとに、様々な種類の体細胞から高品質なイヌiPS細胞を効率よく作製するために研究を開始し、現在では色々な種類の体細胞から高品質なイヌiPS細胞が作製できるようになりました。そして、作製したイヌiPS細胞から、肝臓や膵臓など内胚葉組織の原基である胚体内胚葉への分化方法を検討しました。また、イヌiPS細胞研究以外にも、様々な研究にチャレンジさせていただきました。

P_20180906_125858※TERMIS(Tissue Engineering and Regenerative Medicine International Society)2018  

でのポスター発表               

 

細胞病態学研究室で臨床と研究、どちらも経験させていただいたことで(どちらも非常に貴重な経験でした)、臨床で何が求められているかを理解し、それを解消するためにどのようなアプローチで研究を行うか、考える力が身につきました。また、iPS細胞を用いた研究は、うまくいかないことがほとんどです。ネガティブデータが続いた際にも、過去の報告を調べ(多くはヒトやマウスでの報告ですが)、なぜうまくいかないか、問題をどのように解決していくかを論理的に考えられるようになりました。

私は博士課程修了後、ポスドクとして研究を続けていますが、研究者としての土台を作っていただいた先生方に感謝しております。

 

iPS細胞研究が臨床へ還元されるまでに、大まかに三つのフェーズがあると考えています。すなわち、①iPS細胞作製技術を確立した後、②iPS細胞から目的細胞への分化方法を確立し、③得られた分化細胞を生体へ投与した際の安全性や有効性を検討しなければなりません。その中で、私たちは①の段階をおおかた終わらせることができたと自負しています。

 

イヌiPS細胞を用いた研究はスタートラインに立ったところです!!