研究

獣医感染症学研究室では

感染症は宿主と病原体との相互関係で成立することから、病原体の持つ病原因子の解析ばかりでなく、宿主の持つ疾病の発症に関わる特異因子の解明も研究対象としています。

  • ウエルシュ菌に起因する鶏壊死性腸炎発症に関わる病原因子の病原性発現機構の解明
  • 細菌や生物由来蛋白質毒素に対するウマ抗毒素製剤に代わり得るヒト型抗体の作製

細菌や生物由来蛋白質毒素に対する治療には、ウマ抗毒素製剤が用いられていますが、異種動物の血清を人に投与することは常に一定のリスクがつきまといます。このリスクを回避するために、毒素活性を中和できるヒト型モノクローナル抗体を作製しています。

  • ボツリヌス毒素の作用機構を利用した難治性鎮痙疾患の治療法の基礎的研究

ボツリヌス毒素は、生物兵器に使われるぐらい、少量で強力な致死活性をもつ神経毒素の一面とBOTOXに代表されるように筋ジストニアなどの筋緊張の亢進症に対する治療薬としての一面があります。このボツリヌス毒素はそのままは使用できませんが、遺伝子組換え技術により、無毒化した遺伝子組換えボツリヌス毒素を乗り物(vehicle)にして、難治性神経疾患の治療薬(カーゴ)を的確に届ける分子を作製し治療に役立てるための基礎研究を行っている