研究 Research

松原 三佐子 准教授の研究

肝臓細胞の構造的、機能的な相互作用の仕組みに基づく抗線維化治療法の開発 

肝臓細胞の細胞間相互作用:肝臓は、他の臓器に比べて細胞外マトリックスが少なく、肝重量に対する占有率は約0.6%であります。組織学的には、1個の肝星細胞が、30〜40個の肝細胞をスパイクと呼ばれる突起を介して接触しています。私は、肝細胞と肝星細胞の細胞間相互作用の破綻が、一連の病理学的反応の主な引き金になると考えています。そこで、本研究室では、細胞間クロストークにおける細胞膜の重要性に着目し、肝線維化症の進展機構の解明を目指します。さらに、これらの知見を基に、ハイスループットスクリーニング系を構築し、抗線維化および発癌治療薬の開発を行っています。

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井上 喜来々 助教の研究

細胞間クロストークに着目した新規肝疾患治療標的の探索      

ー 肝星細胞「活性化」メカニズムを理解し、肝線維化治療薬開発に繋げる ー     

 肝硬変は、持続的な肝星細胞の活性化が主因であり、死に直結する疾患です。正常肝において、静止型の肝星細胞はスパインと呼ばれる突起を介して肝細胞と接着していますが、障害肝では、活性化に伴いその接着が消失することが明らかにされています。これまで、肝障害時における炎症性サイトカイン等の外的液性因子由来のシグナルによる肝星細胞の活性化機序については数多く報告されている一方、肝星細胞と肝細胞との“脱接着”が肝星細胞の活性化にどのように関与するかはほとんど解明されていません。

 これまでに、肝細胞膜が肝星細胞の活性化に与える影響を定量的に評価できる独自の培養システムを構築し、肝細胞膜タンパク質との接着によって肝星細胞の活性化が抑制されることを明らかにしてきました。肝星細胞の活性化制御に寄与する、肝細胞-肝星細胞間の接着に関わる膜タンパク質を同定し、その機能を解明することで、肝疾患の新たな治療薬開発への貢献を目指しています。 

星細胞と肝細胞のイラスト