研究

種々の化学物質がエリスロポエチン産生に及ぼす影響

エリスロポエチン(EPO)は赤血球産生に不可欠なホルモンで、成体では主に腎臓で産生され、骨髄での赤血球産生を促進する。さらに、神経や肝臓など様々な組織、細胞でEPOレセプターが発現し、腎臓以外にも肝臓をはじめとする様々な細胞でEPO産生が認められており、EPOが赤血球産生以外に細胞保護に関わっていることが明らかになりつつある。種々の原因でEPO産生が抑制されると、赤血球産生が低下し貧血を引き起こすだけでなく、細胞障害から保護する作用が低下し、健康に悪影響を及ぼすと考えられる。貧血を引き起こすことが知られている種々の有害物質が、EPO産生にどのような作用機序でEPO産生に影響しているのかはよくわかっていない。当研究室では、ヒ素やクロムなど金属類を中心にEPO産生への影響について研究している。

その他の研究課題

  • トリパノソーマ感染動物における宿主応答の解析
  • 腸内細菌叢の胆汁酸代謝に及ぼす経口吸収される化学物質の影響
  • 薬物代謝酵素P450mRNA発現による環境汚染評価法の開発


細胞内輸送制御機構の破綻が細胞死に及ぼす影響

細胞内小胞輸送制御の破綻はオートファジー、アポトーシス、ネクローシス等の細胞障害応答を起こす。環境由来の化学物質による細胞内小胞輸送制御機構の変調がどのように細胞死に影響を与えるのか解析することを目的とする。

  • 細胞への有害刺激に対する細胞死誘導の調整機構:細胞内輸送阻害や異常構造タンパク蓄積等に由来するER stressで導かれる細胞死の発現調節機構の解明
  • 化学物質由来肝毒性発現への細胞内脂質小胞輸送抑制の関与について
  • rER-Golgi間の小胞輸送調節機構:細胞内膜系(rER膜、Golgi膜)局在三両体Gタンパクを介した小胞輸送の調節シグナル経路の解明
  • マイクロプラスチック(ポリスチレン粒子)の腸管上皮細胞リソソーム腔内への取り込みメカニズムの解明およびその抑制手法の確立