合理的配慮とは
修学上の合理的配慮について<学生向け>
合理的配慮とは? (*1)
本学の学生はみな、平等に「学ぶ権利」を持っています。しかし、心身の機能等に何らかの制限や特性がある場合、多くの人がなにげなく適応している方法や環境ではうまく学べない状況が生じることがあります。そのような時、学ぶ権利を享受するうえで障壁(バリア)となっている設備・前例・ルール・慣行の変更・調整(=“合理的配慮”)を求めることができます。
まず、「学ぶ上で、こういう不安(困りごと)がある」と相談してください。大学は、負担が重くなり過ぎない限り(体制面、財政面)、個々の学生が求める配慮を提供する義務があります。このことは、障害者権利条約・障害者差別解消法でも認められています。
どんなことが合理的配慮となるのかは、個別に話し合う中で決まっていくことですが、例として次のような配慮が行われています。
例
- 座席の確保
- 情報・コミュニケーションの配慮(ノートテイク等)
- 人的サポートの配置(移動支援等)
合理的配慮に関わる注意点 ※必ずご一読ください
- 合理的配慮は「機会の平等」を確保するためのものであり、結果(例えば、単位取得)を保証するものではありません。
- シラバスに書かれている授業の本質を変えてしまうような変更や、評価基準の変更はできません。
- 時期をさかのぼって申請することはできません。(例:今が7月だとして、「4月から」の申請を行うことはできません)
- 修学困難な状況(医師が休養・療養を最優先すべきと判断する状況等)では、合理的配慮の申請はできません。
修学上の合理的配慮について<教職員向け>
合理的配慮とは?
- 合理的配慮の提供は、すべての学生が平等に学ぶ権利を保障するために行う調整のことです。(*2)
具体的には、個々の学生が学びやすいように教室の環境を整えたり、資料の提供方法を工夫したりすることを指します。 - 個々の学生に提供される「合理的配慮」の内容は、本人への聞き取りと、アクセシビリティ支援委員(教員)を含む話し合いによって、個別に決定されていきます。その際、提供側に過重な負担がないように調整されます。
- 合理的配慮を理解する上で、「障害の社会モデル」の考え方( “障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるもの”であるとする)がヒントになります。令和6年に出された「障害のある学生の修学支援に関する検討会第三次とりまとめ」(*3)でも、「障害のない学生を前提として構築された大学等の仕組みや構造が、障害のある学生にとっての社会的障壁となっている場合がある点に留意が必要」だと述べています。修学上の困難は、学生の心身の状況が原因だと考えられがちですが、教室の環境や授業のあり方が障壁(バリア)になっているかもしれない、という視点を持つことが大切といえます。
合理的配慮に関わる注意点
- 合理的配慮の提供は、「機会の平等」を確保するためのものであり、個々の学生の成績や単位の保証を意味するものではありません。また、授業の本質を変えてしまうような変更や、評価基準の変更を行う必要はありません。
- 障害学生支援は、合理的配慮の提供に限定されるものではありません。障害の有無によらず、学内全ての学生を対象に実施している各種支援と併せて行われるものであり、学内の学生支援リソースも総合的に活用しながら行うことが望ましいのです。(障害のある学生の修学支援に関する検討会 第三次まとめ)
注釈
- (*1)本ページでいう「合理的配慮」は、「修学上の合理的配慮」を意味する。「合理的配慮」は、教育機関だけでなく、就労を含むさまざまな場面で実施されているものであり、すべての市民が受ける可能性を持つものである。
- (*2)文部科学省「障害のある学生の修学支援に関する検討会 第一次とりまとめ」における定義:
大学等における合理的配慮とは、「障害のある者が、他の者と平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために、大学等が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある学生に対し、その状況に応じて、大学等において教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」であり、かつ「大学等に対して、体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」。 - (*3)文部科学省「障害のある学生の修学支援に関する検討会 第三次とりまとめ」(令和6年3月) https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/123/mext_01732.html