研究内容

研究テーマ

research

植物の脂肪滴生成と脂質貯蔵メカニズムの解明

植物は、トリアシルグリセロールのような中性脂質を脂肪滴 (lipid droplet, LD) 中に貯蔵しています。トリアシルグリセロールは食用油やバイオディーゼルとして利用されますが、LD は植物ステロールのような他の中性脂質の貯蔵の場としても機能しています。これまでに我々は、植物に特異的なステロールが植物の健全な発生に必須であることを明らかにしています。現在、植物の LD 形成とステロール生合成や貯蔵の関係を明らかにすることを目指して研究を進めています。

寄生雑草の炭素代謝経路の解明と防除への応用

ハマウツボ科(Orobanchaceae)の根寄生雑草は、世界の農業に甚大な被害を与えています。特に、アフリカにおける被害は、飢餓や貧困に直結しています。根寄生雑草は、地下で宿主作物の根に寄生するため発見が困難であり、難防除雑草の一つです。これまでに我々は、根寄生雑草の発芽における特徴的な糖質代謝経路を明らかにし、その代謝を阻害すると発芽や幼根の伸長を抑制できることを見出しました。現在、阻害剤の構造最適化や、寄生後の宿主由来の炭素の代謝経路を明らかにすることを目指して研究を進めています。

異種接ぎ木における物質輸送の解析と食品安全性評価

ゲノム編集をはじめとする新しい植物育種技術 (new plant breeding techniques, NPBT) が注目されています。形質転換体を台木として形質転換の難しい異種の穂木に有用な形質を付与する異種接ぎ木も NPBT の一つとして活用が期待されています。しかし、異種接ぎ木における代謝物や遺伝子産物の植物間の移動について、これまで十分に検討がなされておらず、食品安全性評価の観点からもその詳細な解析が求められています。我々は、メタボロミクスなどの包括的な生体分子解析技術を用いて異種接ぎ木における物質輸送を解析し、食品安全評価に資する情報を得ることを目指して研究を進めています。