植物概日時計の精密制御技術

体内時計の応答性の精密計測技術

シンギュラリティ応答による応答特性の計測。各刺激に対して、一回だけの実験で応答特性を取得できる。


植物の体内時計は、外部から同じ刺激を受けた場合でも、その刺激を受ける時間帯によって体内時計の時間を進めたり遅らせたりする応答の違いが起こります。この応答特性は、位相応答曲線と呼ばれる応答関数で表され、その関数を求めることが体内時計の挙動解析や制御において重要であることが知られていますが、包括的な位相応答曲線の計測は非常に手間がかかるため、その包括的な計測は困難とされてきました。
 本研究では、植物の生物リズムが失われた状態(シンギュラリティ)に着目し、体内時計内の時計細胞集団の応答から、位相応答曲線を簡単かつ高速(効率的)に計測できることを世界で初めて明らかにしました。これによって、計測に必要なコストが1/100以下となり、高効率に解析することが可能になりました。また、この技術は、将来、体内時計の精密制御や脆弱性(応答性)の解明を実現するための基礎技術となると期待されます。

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時計細胞の集団応答

シンギュラリティ応答のイメージ


植物の体内時計は、個々の細胞に備わっています。各細胞における体内時刻(灰色の矢印)がバラバラの場合、その全体シグナルはとても小さくなります(黒色矢印)。しかし、外部から1発の入力があると、個々の時計は同じ方向に時間を合わせようとします(赤色の矢印)。その結果、全体シグナルは大きくなります(紫色の矢印)。

時計細胞の集団応答

体内時計の高度制御技術の役割

with/postコロナ社会においては、農業生産も急速にオンライン化され、ロボットによる高度自動化が求められる。


現在、オンラインで繋がったAI栽培ロボット群を対象とした新たなプラットフォーム研究が重要となりつつあります。しかしながら、AI栽培ロボットに関する基盤技術は研究が始まったばかりであり、ほとんどが未開発です。例えば、植物栽培の前提である24時間の昼夜サイクルは植物の生理代謝に大きな影響を与えますが、これを「AI栽培ロボットの動作フレーム」に導入するための技術デザインは十分に得られていません。

体内時計の高度制御技術の役割