News & Topics

2022年5月11日

  • 研究

関節リウマチ患者の転倒予測に生体電気インピーダンス法で算出される指標の位相角が有用であることがNutritionに掲載されました。

関節リウマチ(RA)は炎症性の疾患であり、RA患者では炎症が主な原因となってRAでない方と比べて骨が脆い傾向にあります。

そのため、何かのひょうしに転倒してしまうと骨折してしまうことがあります。ある報告によるとRA患者で転倒した人の約半数は

中等度以上のけがをしていることが示されています。このため、RA患者での転倒を事前に予測し、予防策を講じることが重要となります。

RA患者の転倒のリスクとして、これまでに疾患活動性や薬剤の使用状況などに関する報告がされてきましたが、身体面で転倒リスクを
予測する因子はこれまで十分に検証されてきませんでした。

我々はRA患者189名を対象として、生体電気インピーダンス法という方法を用い、筋肉量や体脂肪量などの体組成を評価すると共に

体を構成する細胞の栄養状態を示す『位相角』という指標に着目して、転倒予測が可能であるかを検証しました。

その結果、位相角が低値を示す患者ほど、2年以内に転倒するリスクが高いというデータが得られました。また、この予測は筋肉量や

筋力低下を意味するサルコペニアよりも有用である可能性も示されました。

位相角は患者の栄養状態や身体活動量と強く関係することから、サルコペニア同様RA患者に対する栄養状態改善と身体活動量向上を

目指した介入を行うことで、RA患者の転倒を予防できる可能性があると共に、位相角によって筋肉量や筋力だけでは発見しづらい

転倒リスクの高いRA患者をふるい分けられる可能性があります。

【著者】
Yoshinari MatsumotoMasahiro Tada, Yutaro Yamada, Koji Mandai, Noriaki Hidaka, and Tatsuya Koike
【論文タイトル】
The bioimpedance phase angle is more useful than sarcopenia as a predictor of falls in patients with rheumatoid arthritis: Results from a two-year prospective cohort study

【掲載雑誌】

Nutrition

【論文へのリンク】 

https://doi.org/10.1016/j.nut.2022.111729