研究テーマ

主な研究テーマについて

関節リウマチ患者の病態と臨床栄養学的諸要因との関連性の研究

関節リウマチ(RA)は真の原因が不明の自己免疫性炎症性疾患です。RAでは骨破壊や関節炎を主な症状としますが、炎症は関節局所だけではなく全身に影響を及ぼし、心血管系疾患、筋肉減少症などの合併症が生じやすくなります。これらの合併症には一般的には炎症だけでなく、栄養学的な因子も大きく関わることが知られていますが、RA患者においてこれら合併症に対する栄養学的な因子の影響は明らかになっていません。我々は、上記合併症と栄養学的因子の関連性を調査すると共に、RA患者の病態管理において食事・栄養素摂取状況などの栄養学的諸要因がもたらす影響の調査を行っています。

右の図のように、RA患者では栄養が関わると考えられる病態が多くみられます。これらの病態に対して栄養学的要因がどの程度関わっており、栄養学的介入により改善させることができるかを検証しています。
単に従来通りに検査値の評価や食事・栄養学的調査を行うだけではなく、メタボローム解析や腸内細菌叢解析などの生体情報の網羅的解析(オミックス解析)を行い、栄養が生体にもたらす影響を生命科学的に分析することを目指しています。

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骨粗鬆症患者の治療効果に栄養がもたらす影響の研究

骨粗鬆症とは、骨が脆く(もろく)なり、骨折のリスクが高い状態のことです。骨粗鬆症に対する治療法は薬物療法、運動療法、食事療法などがありますが、骨粗鬆症治療中の患者における栄養状態や食事・栄養摂取状況が治療効果にもたらす影響は十分には検証されてきませんでした。我々は、骨粗鬆症患者の治療効果を高めるために必要な栄養学的要因を検証するため、骨密度の変化と食事・栄養素摂取状況などの栄養学的諸要因との関連性調査研究を行っています。

入院患者の栄養状態に関する研究

入院患者は、当然ながら何らかの病気に対する検査や治療を受けるために入院します。そのため、入院前から既に病気の影響により栄養状態に変化が起きていると考えられます。また、入院後も治療や食べ慣れない食事による影響で栄養状態は悪化しやすくなり、栄養状態が悪化することで入院期間が長くなったり、死亡リスクが高まることが知られています。また、入院中に生じた低栄養状態は退院後も遷延し、生活の質の低下や再入院リスク上昇にも関わります。このことから、我々は入院前、入院中、退院後にかけての一連の流れにおいて、患者の栄養状態を評価し、栄養状態を改善するための方策を立てるための調査研究を行っています。

各種疾患の病態と栄養の関連性の研究

各種疾患の病態に、栄養は大きく関わっていると考えられます。各種領域の先生方と共同で調査研究を行い、病態改善のための栄養学的問題点の抽出と栄養学的アプローチ法の開発を目指しています。

  • がん (食道、胃、大腸)
  • 肥満
  • メタボリック症候群
  • 非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD)
  • 慢性腎臓病 (透析患者)
  • 全身性エリテマトーデス(SLE)

主な共同研究先

  • 大阪公立大学医学部医学科
  • 済生会吹田病院
  • 関西医科大学医学部附属病院 健康科学センター
  • 大阪市立総合医療センター
  • 県立広島大学 地域創生学部
  • 県立広島大学 生物資源科学部