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都市文化研究センターは、2007年に本学の大学院文学研究科内における多様な領域分野にまたがる研究・教育の支援や、関連する諸事業を牽引するために開設された組織です。メンバーは文学研究科の専任教員、UCRC研究員、特別研究員（UCRC研究員と兼任可）によって構成され、所属する大学院生、若手研究者の研究活動に対する経済的支援や様々な機会の提供、共同研究の促進、研究成果の国際的な発信に向けた援助などに取り組んでいます。本センターではこれらの活動を、学内外の競争的資金を継続的に獲得しながら行ってきました。今後は、これまでに積み上げてきたノウハウや経験を活かし、より広い学際性・国際性への発展を目指しています。
都市文化研究センター(UCRC)は、大阪市立大学文学研究科が2002-2007年に21世紀COEプログラム「都市文化創造のための人文科学的研究」を採択され、研究・教育拠点の中核を担う場として2003年に設立したものです。当時は、上海、北京、ハンブルク、ロンドン、バンコク、ジョグジャカルタにサブセンターを設置し、国際的な共同研究、教育、交流の基点として機能しました。その取り組みは、５年間のうちに160点以上の刊行物、事業推進担当者、協力者、研究員（若手）による数百の論文として結実しました。また、博士号の取得も飛躍的に伸びました。比較都市文化史、ツーリズム研究、文化資源論、知識人研究などをテーマに、都市に関する歴史的アプローチと現代文化論的視座の融合を試み、一定の成果を挙げました。
2006年には、これまでの都市研究の蓄積を活かし、現代の様々な都市の諸問題に対して実践的に取り組む全学的組織、都市研究プラザが開設されました。同プラザのプロジェクトは2007年から始まったグローバルCOEプログラムに採択され、そのテーマ「文化創造と社会包摂に向けた都市の再構築」は、まさに都市文化研究センターの21世紀COEを受け継ぐものでした。また、2007年度より21世紀COEの教育部門での目玉事業であったインターナショナルスクールが、文部科学省の「大学院教育改革支援プログラム」に採択され、UCRCの一部門として、若手研究者の国際発信力を向上させるための様々な支援プログラムを実施してきました。
COEプログラム期間が終了し、新しい大阪公立大学の時代に入った今日もなお、都市文化研究センターは最先端の研究と教育の新たな芽を生み出す場としての役割を担い、知が停滞することなく、様々な交差の中で衝突や融合を繰り返す、エネルギー発生の空間としての機能が求められています。
ところで、学問や思想は短い期間で成熟することは不可能です。私たちは過去の21世紀COEをひとつの通過点としながら、大学を取りまく様々な変化の中にあっても、世界的な広がりと深みをもつ研究・教育の拠点に達するための道のりを、じっくりと歩んでいきたいと考えています。学内においては多くの他の部局と、学外では国内外の研究機関とも協働関係を築きながら、人文科学として、人間とその社会、歴史、心理、教育、思想や文化、多様な言語や文学、コミュニケ―ション等を扱い、様々な切り口と方法でアプローチを行う文学研究科ならではの学問のあり方を追究してゆきます。大阪公立大学の前身である大阪市立大学は、建学精神として「都市は大学とともに、大学は都市とともに」を謳い、120有余年にわたって、都市研究のメッカとして斯界をリードしてきました。その伝統を受け継ぎながら、私たちは、目先の状況に流されない知の力を軸に、しなやかに時代を乗り越え、次の世代への橋渡しとして、新しい研究の芽を育み、その成果発信を後押しするための取り組みを継続しようとしています。
現在、UCRCの組織として、学術誌『都市文化研究』の刊行や、教員と研究員との共同事業（シンポジウム、調査研究）、アーカイブ構築などの基盤的な活動のほか、常に新たな研究領域との出会い、パートナーを求めて、UCRC研究員制度を維持し、高度な学術交流のプラットフォームとしての活動を続けています。最新情報は本ホームページに掲載されていますので、ご覧ください。
また今後、森之宮キャンパスへの移転（2025年度予定）を機に、他の部局や学外の諸機関、国際パートナーとも協働しながら、21世紀にふさわしい、人文科学をつなぎ目とする学際研究のハブ拠点へと展開し、世界の知の動向に貢献してゆきたいと考えています。
白田由樹（都市文化研究センター所長）