動物社会学研究会のご案内
2025年12月23日
- 研究会(2025年度)
第7回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ
第7 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。
外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。
開催概要
日時: 2025年12月27日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)
場所: 大阪公立大学 理学部E棟108会議室
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)
発表内容
ギンガハゼが共生相手のホリモンツキテッポウエビの巣に海藻・海草を運ぶ行動の機能解明 吉良 孝介(B4)
生物間における栄養を介した相利共生は多く知られている。しかし、共生者間で積極的かつ直接的に餌を与える証拠を示した研究例は少なく、特に海洋において、これまで知られている例は、近年発見されたクマノミとイソギンチャク、ハゼとテッポウエビの関係に限られる。後者の例では、ハゼはテッポウエビに糞を与え、テッポウエビは砂底を掘り返し、ハゼが底生動物を食べるのを助けることで、相互給餌関係にあると考えられている。さらに、昨年新たに、沖縄県西表島において、ハゼがテッポウエビに積極的な給餌を行う可能性が見出された。ギンガハゼが砂底に落ちている海草の破片とみられるものを咥え、共生相手であるホリモンツキテッポウエビの巣穴に運び込み、エビがその海草を巣の中へと持ち込むという行動が観察された。ハゼは主に底生動物を摂食するため、この行動はハゼによるエビへの給餌行動である可能性が考えられる。そこで、西表島に生息するギンガハゼとホリモンツキテッポウエビのペアを対象に、野外において数種類の海藻・海草を提示し、ハゼとエビの行動を観察した。本研究会では、この観察結果からハゼが海藻・海草を運ぶ行動がエビへの給餌行動であるかについて議論する。
ホンソメワケベラにおけるエピソード記憶の解明にむけて ~トレーニング方法の試行錯誤~ 稲田 創(B4)
エピソード記憶とは、個人的に経験した出来事について、それらの出来事間の時空間的な関係も含めて覚えている長期記憶の一つとされている。またエピソード記憶には、記憶の時間順がわかるための主観的時間感覚や、記憶を思い浮かべるときに特有の意識などが必要とされる。しかしながら、言語を持たないヒト以外の動物では、エピソード記憶を持つかどうかを証明することが困難である。そのため動物における研究では「いつ・どこで・何を」などの、行動として観察可能な指標から「エピソード様記憶」の証明が進められてきた。魚類ではホンソメワケベラでの先行研究において、一定時間ごとに提示される餌を用いた実験で「いつ」と「何を」を記憶できると発表されている。しかし、一定時間ごとに餌を提示する方法では主観的な「いつ」を証明できていない。そこで、ホンソメワケベラのエピソード記憶の解明に向けて、一定時間ごとではなくランダムな間隔の提示にすることでホンソメワケベラが「いつ」を理解していることを示すことを目的として研究を進めてきた。しかし、本実験に用いるルールをホンソメワケベラに覚えさせるトレーニングにおいて、目標とした成績に達するような結果が得られなかった。そこで本発表では、これまでに試したトレーニングの手法や得られた結果などを共有し、どのような改良を加えればよりよい結果が得られるようになるのかについて議論したい。
過去の研究会の発表者と発表要旨
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連絡先
森(研究会渉外担当) sq25261i★st.omu.ac.jp