動物社会学研究会のご案内
2026年1月27日
- 研究会(2025年度)
第11回 大阪公立大学 動物社会学研究会
第11回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。
外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。
開催概要
日時: 2026年1月30日(金) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)
場所: 大阪公立大学 理学部E棟108会議室
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)
発表内容
シキミタマバエの個体群動態の解明および虫こぶ形成がシキミの葉へ及ぼす影響の評価 井上 航史郎(M1)
個体群生態学は個体群の時空間的変動とその変動要因を明らかにしようとする研究分野であり、生態系の理解、種の保全や防除戦略の立案に重要である。しかし、個体群動態の研究において個体数の正確な把握は大きな課題となる。多くの動物は移動性が高く、個体の追跡が困難だからである。一方、虫こぶ形成昆虫は多くの場合、成虫が短命であり、虫こぶ自体は移動しないため、追跡と個体数把握が容易であり、個体群動態研究に適している。
昨年度はシキミの葉に虫こぶを形成するシキミタマバエを対象に個体群変動を調査した。その結果、虫こぶ密度はシキミ個体間で大きく異なる一方、シキミ個体内での年次変動は比較的小さいことがわかった。タマバエの産卵時期におけるシキミ新芽長が虫こぶ密度に最も強く影響することが明らかとなり、シキミ個体間にみられる虫こぶ密度の差異は両者のフェノロジー同期の程度がシキミ個体ごとに異なることに由来することが示唆された。
本年度はタマバエ個体群の変動を継続して調査するとともに、寄生蜂による寄生率を定量し、トップダウン要因の影響を検討した。さらに葉上における虫こぶの密度や位置を把握した上で虫こぶの運命を評価し、密度や微小環境が幼虫の生存に与える影響を分析した。またシキミの葉における葉緑素含量を測定し、虫こぶ形成が葉の生理状態に与える影響を評価した。以上を踏まえ、タマバエの個体群変動を駆動する要因について議論したい。
有毒植物アセビにまつわる節足動物群集の構造と多様性の解明 佐竹 敦広(M1)
植物は身を守るための防御戦略を獲得し、植食者はその防御を回避するための対抗策を獲得してきた。植物の防御戦略の一つとして化学的防御があり、植物が生産する毒(二次代謝産物)は植食者の利用可能性を左右し、特定の専門食者のみを許容する“生態的フィルター”として働く。そしてこれらの影響は高次の栄養段階にまで波及する可能性もある。しかし有毒植物においてどのような節足動物群集が見られ、それが季節によってどのような動態を示すのかについては体系的な研究がほとんどない。
本研究では有毒植物アセビを対象に、植物体上の節足動物の種とその個体数を通年記録し、その群集構造とその変動要因を探った。附属植物園において、シュート上の節足動物を通年、記録した。一部の個体は採取して種同定を行った。得られたデータから節足動物群集の組成を明らかにしその多様性を評価した。その結果、吸汁者のトサカグンバイが記録個体全体の7割を占めていた。また、節足動物は前年枝よりも当年枝に有意に多く見られ、群集構造は季節によって変化することがわかった。また、春、夏ではShannon指数の値が大きいが、冬では小さくなっていた。これは優占種のトサカグンバイが夏に寄主転換し、冬はアセビ上で越冬、産卵するために密集するからであると考えられる。今後は他樹種との比較も行い、葉の大きさや硬さなどの形質を踏まえて、樹木上の節足動物の群集構造を決定する要因に迫る。
過去の研究会の発表者と発表要旨
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連絡先
森(研究会渉外担当) sq25261i★st.omu.ac.jp