動物社会学研究会のご案内
2026年2月3日
- 研究会(2025年度)
第13回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ
第13回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。
外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。
開催概要
日時: 2026年2月7日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)
場所: 大阪公立大学 理学部E棟108会議室
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)
発表内容
10年生きても小さいまま:共同的一妻多夫魚Julidochromis ornatusにおいて見られた劣位雄の成長遅延 武藤 響子(D1)
協同繁殖する動物の多くでは,分散遅延によって出生地に留まった子がヘルパーとなるが,非血縁個体からなる共同的一妻多夫では,子の分散遅延とは異なる仕組みでグループが形成されていると考えられる.共同的一妻多夫の成立や維持機構を理解するためには生活史の解明が重要である.しかし,本婚姻形態における,個体の移出入,社会的順位,成長制御に関する研究はほとんど行われていない.そこで,本研究では,タンガニイカ湖に生息するカワスズメ科魚類(Julidochromis ornatus)を対象に,耳石による年齢査定と成長調査を行い,年齢と性別・体長・社会的順位との関係を調べた.本種は,個体群内で,共同的一妻多夫と一夫一妻の両方の婚姻形態が見られる.年齢推定の結果,本種は最大体長が10 cm程度と小型にもかかわらず,繁殖個体の年齢は10〜20歳と長寿命であると推定された.また、繁殖グループ内で最大の個体である雌の成長が最も速く,次いで中型のα雄であり,小型のβ雄は著しく成長が停滞していた.本種の社会的順位は厳格に体長により決まり,サイズ同類交配となっていた.しかし,年齢同類交配が起こるのは体サイズの小さい一夫一妻の場合だけであり,共同的一妻二夫の場合,年齢同型交配は見られず,β雄がα雄より高齢な場合も少なくなかった.以上より,本種の共同的一妻多夫の成立には,年齢よりも体長が重要であり,地位による厳格かつ可塑的な成長制御が存在することが示唆された.
ヘルパーは状況によってはサボる:協同繁殖魚Neolamprologus savoryiの野外操作実験による罰と手伝いの関係の検証 日高 諒(学振PD)
ヒトは、協力社会を維持するために「罰」を用いる。このとき、相手が自分に罰を与えようとしているかどうか、つまり相手の意図や感情を読み取ることができれば、先手を打つことで罰を未然に回避できると考えられる。もし、相手の意図を実験的に隠したり見せたりすることができれば、ヒト以外で初めて、動物が相手の意図や感情を読み取って行動を調整しているかを検証できる。これまでの水槽実験と野外実験から、タンガニイカ湖産の協同繁殖魚であるNeolamprologus savoryi(サボリ)において、手伝いを制限されたヘルパーが再び手伝えるようになると、即時に手伝い量を増やすことで親からの攻撃を受けなくなることが示された。このことから、ヘルパーは親からの罰を未然に回避するために手伝いを増やしているという結論に至った。しかし、これらの結果は、親とヘルパーの行動の変化から、ヘルパーが親の罰を防ぐように行動したと推論しているにすぎず、ヘルパーが、罰が起こる状況をどのように認識しているのかという、認知的側面は十分に検討されていない。そこで本研究では、ヘルパーの視点に焦点を当て、次の2つの問いに答えることを目的とした。1)罰が発生しない状況ではヘルパーは手伝いを減らすのか?2)ヘルパーは親の怒り状態を認識しているのか?野外での操作実験の結果、ヘルパーは親の監視がない状況では手伝い量を減らし、特に小型のヘルパーでその傾向が顕著であった。また、親が怒っていると考えられる状況では、ヘルパーは手伝い量を増やすことも分かった。以上より、サボリのヘルパーは、親から罰を受けない状況や親の怒り状態を認識し、状況に応じてサボることが示唆された。
過去の研究会の発表者と発表要旨
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連絡先
森(研究会渉外担当) sq25261i★st.omu.ac.jp