動物社会学研究会のご案内

2026年2月10日

  • 研究会(2025年度)

第14回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ

第14回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。

外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。

開催概要

日時: 2026年2月14日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)

場所: 大阪公立大学 理学部E棟108会議室
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)

発表内容

寄生虫を掃除しないホンソメワケベラにもマークテストは有効か? 小林 大雅(特任助教)

 鏡像を自己と認識できること(鏡像自己認知)は動物が自己意識を持つことを示す決定的な証拠であり、その最有力な検証法とされるマークテストの結果は対象種が自己意識を持つか議論するうえで重要視される。しかし、これまでにマークテストに成功したとされるほとんどの種は成功率が半数以下にとどまる。その大きな原因のひとつは動物が自分の体につけられた無意味なマークに関心を持たないことと考えられるが、手法改善の機運は高まっておらず、矛盾の多いテストの結果を基にした自己意識の起源をめぐる議論が続いている。ホンソメワケベラは寄生虫を摂餌する生態を利用し、寄生虫を模した茶色のマークを用いることで、96%を越える高い成功率(27/28)を示す。近年、愛媛県室手海岸に生息する本種は通常とは異なり、寄生虫を摂餌する頻度が低いことが明らかになった。この地のホンソメは寄生虫の感受性が低く、マークテストに成功しない可能性がある。しかし、なわばりをもつ生態を利用した写真自己認知テストには成功する可能性がある。本研究の目的は、マークテストに適さないと考えられる生態を持つホンソメを対象にマークテストと写真自己認知テストを実施することで、対象種の生態に則した方法で鏡像自己認知を検証する重要性を示すことである。既に鏡像自己認知が実証された本種でマークテストの失敗の要因を明示できれば、鏡像自己認知の検証法やこれまでの検証結果やそれらに基づいた議論の見直しが進むことが期待される。

宿主イソギンチャクの密度が異なるクマノミ個体群間における社会構造と行動の直接比較 小林優也(博士奨励研究員) 

 血縁選択は動物の社会進化の主要な要因と考えられてきた。しかし、資源の制約といった生態学的要因や他個体からの圧力といった社会的要因により、血縁のない個体同士でも社会集団や協力行動が進化することが示唆されている。その一方で、これらの要因の変動により社会構造や行動がどのように応答するかを調べた研究は僅かである。本研究では、生息地のイソギンチャクの密度が異なるクマノミの個体群間で社会構造と行動を比較し、これらの変化を明らかにする。発表者のこれまでの調査から、イソギンチャクが高密度な環境である愛媛県室手海岸では、体サイズに基づく順位制が崩れ、雌が雄を選ぶとともに非繁殖雄に社会的圧力を加えることが明らかになっている。この結果を、イソギンチャクの密度が低いパプアニューギニアの個体群と直接比較した。その結果、パプアニューギニア個体群ではほとんどの場合で単一のイソギンチャク上に強い順位制を伴う集団を形成しており、室手では多数のイソギンチャクを利用するとともに明らかに順位制が弱まっていることが確かめられた。また、行動を比較したところ、パプアニューギニアの方が個体間相互作用が密接に行われており、卵保護行動などの協力的な行動やイソギンチャクとの相互作用にも両個体群で違いがあることがわかった。これらの結果から、イソギンチャクの密度がクマノミの社会の有り方にどのような効果をもたらすかを議論する。 

過去の研究会の発表者と発表要旨

過去の研究会の発表者と発表要旨はこちらからご覧下さい。

連絡先

森(研究会渉外担当) sq25261i★st.omu.ac.jp


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