動物社会学研究会のご案内
2026年3月4日
- 研究会(2025年度)
第17回(最終回) 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ
第17回(最終回)の大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。
外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。
開催概要
日時: 2026年3月7日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)
場所: 大阪公立大学 理学部E棟108会議室
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)
発表内容
種子散布研究はどのように進んできたか? 吉川徹朗(准教授)
種子散布は、子植物が親植物から離れて新たな場所に到達するという、植物の繁殖ステージのひとつであり、植物の更新および空間的移動に深く関わっているために、個体群・群集に大きなインパクトを与える現象である。また、その多くのフェーズに動物との相互作用が関わっており、動物の生態・進化にも大きな影響を与える。このように種子散布は、植物・動物双方の生態・進化・保全において重要であり、多くの研究がされてきたが、時間的・空間的に広範な領域に関わるために、その研究にはさまざまな困難があった。こうした制約を受け、種子散布という現象は、これまでさまざまな異なるアプローチによって研究されてきた。この講演では、こうしたアプローチを、自然史知識の蓄積、理論的・概念的研究、フィールド研究、大規模データ分析の4つに大別し、それぞれについて解説し、そしてこれらによる主要な成果を紹介しながら、種子散布研究の歴史を振り返る。これらのアプローチによって見えてきた、植物の生態プロセス・進化プロセスに関する現在の知見を紹介した上で、こうしたアプローチを統合することの重要性を強調したい。
ミソサザイにおける非繁殖期のなわばり性が繁殖成績に与えるキャリーオーバー効果の解明 惣田彩可(京都大学)
動物の繁殖生態に関するこれまでの研究の多くは、個体間で繁殖成功に差が生じる要因として、交尾の直前および直後の行動に着目してきた。しかし、非繁殖期における個体の経験や行動も、繁殖期の個体の繁殖成功に影響することが近年明らかになってきた。本研究の対象種であるミソサザイの繁殖地は高標高地に限られており、非繁殖期である秋から冬にかけては積雪や低温を避けて低地へと移動すると一般に考えられていた。しかし、これまでの研究によって、非繁殖期の間も繁殖地にとどまり、なわばりを確保する雄がいることが明らかになった。これらの雄の一部は繁殖期までなわばりを維持し続け、繁殖なわばりとして利用していた。一方で、繁殖期開始後になわばりを確保する雄も観察された。本研究では、非繁殖期からなわばりを維持し続けた雄と、繁殖期開始後になわばりを確立した雄との間で繁殖成績を比較した。前者の雄は、後者の雄と比較して、より多くの巣を作り、より多くの雌とつがいになる傾向にあった。また、前者の雄が作った巣は、後者の雄が作った巣よりも捕食率が低くなっていた。さらに、前者の雄の方が後者の雄よりも大きななわばりを持っていた。ミソサザイにおいては、非繁殖期の間になわばりを確保することが、質の高いなわばりを手にいれる確率を高め、その結果、より多くの雌とつがいになる確率を高めることが示唆された。
過去の研究会の発表者と発表要旨
過去の研究会の発表者と発表要旨はこちらからご覧下さい。
連絡先
森(研究会渉外担当) sq25261i★st.omu.ac.jp