動物社会学研究会のご案内

2023年3月2日

  • 研究会(2022年度)

第12回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ

第12回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。

外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。

開催概要

日時: 2023年3月4日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)

場所: 大阪公立大学 理学部E棟1階会議室(E108)
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)

発表内容

多様な動物たちが果たす種子散布の機能 吉川 徹朗

 動物による種子散布の様式としては、果実食者が液果を食べて種子を排出する被食散布や、種子を貯蔵する種子食者が行う貯食散布が代表的であり、これらの動物による種子散布のプロセスについては多くの研究がある。一方で近年の研究から、果実食者・種子食者以外の動物も、植物の種子散布に大きな役割を果たしていることが見えてきた。例えば、草食や肉食の動物がさまざまな植物の種子を被食散布・付着散布することが知られており、こういった動物による種子散布が、植物の長距離の移動につながることが明らかになっている。今回のセミナーでは、動物の種子散布機能に関するこれまでの知見を概観し、多様な動物の被食散布ポテンシャルの評価モデルに関する研究を紹介する。 

サカナの脳と行動の比較生物学 吉田 将之(広大統合生命) 

 心を生物学的な機能の一つとして捉える。その神経基盤を理解するために、サカナの脳と行動の研究をしている。魚類は脳と体の基本デザインを他の脊椎動物と共有している。行動のレパートリーや複雑さも同様である。したがって、その裏にある心も(種特異的な部分があるのは当然として)共通の原理で生成されているだろう。サカナの行動や心理状態と脳との関係について、主に演者の研究室で行ってきた三つの研究例をあげながら議論したい。ひとつ目は空間認知機能と脳構造との対応で、ハゼ科のサカナを題材とした比較神経解剖学的研究である。動物の生活様式と脳形態(各脳部位のプロポーション)は密接に関係しており、それは魚類において顕著である。終脳の海馬と呼ばれる部分は空間認知に深く関わっている。この領域と生息空間の複雑さとの関係を調べた研究を紹介する。二つ目は、キンギョにおける恐怖条件付けの神経生理学的研究である。パブロフ型の古典的恐怖条件付けには小脳が必要である。小脳の神経回路は脊椎動物を通じてよく保存されている。キンギョの恐怖条件付けにおいて小脳の神経細胞が可塑的に変化することを明らかにした。これは恐怖の脳内表現の一側面であろう。三つ目は、生理・行動反応からゼブラフィッシュの心理状態を推定する研究である。演者らは、自由に泳ぐサカナから呼吸運動を記録する手法を開発した。これを行動テストと組み合わせることで、不安情動の定量化や、薬物の精神作用の評価を試みている。

 

次回の研究会

次回研究会は3月11日(土) 13:00より、以下の内容で開催予定です。詳細及び要旨は3月6日に公開いたします。

14年振りのザンビアを訪れて考える今後のタンガニイカ研究

安房田 智司

海産カジカ科魚類における精子形態と運動性の適応的意義の検証

伊藤 岳(特任)

過去の研究会の発表者と発表要旨

過去の研究会の発表者と発表要旨はこちらからご覧下さい。

連絡先

安藤(研究会渉外担当) a19se001★st.osaka-cu.ac.jp
★を@マークに変えて送信してください。