動物社会学研究会のご案内

2023年11月27日

  • 研究会(2023年度)

第1回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ

第1回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。今回は本年度最初の研究会です。

外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。

開催概要

日時: 2023年12月2日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)

場所: 大阪公立大学 理学部E棟1階会議室(E108)
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)

発表内容

Neolamprologus pulcher 幼魚における顔の異人種効果の検証-顔認知はいつ同地域個体に特殊化するか?- 西田 光希(M2)

 異人種効果とは、自人種の顔と比べて他人種の顔が見分けづらい現象のことである。ヒトにおける異人種効果は生得的というよりむしろ幼少期の経験(日常的に接する人種)によるもので、顔に対する広範な識別能力が経験によって狭窄化し、特定人種に対する識別能力に特化するために生じると考えられている。そのため、異人種効果は顔認知能力の発達過程を知るうえで重要な証拠となる。そこで、顔の模様の違いに基づいた個体識別を行い、顔の模様に地域変異を持つタンガニイカ湖産カワスズメ科魚類のNeolamprologus pulcherに着目し、魚類における異人種効果を検証することにした。昨年度の研究で成魚のN. pulcherに同地域・別地域の模様を持つ既知・未知個体の顔写真をそれぞれ提示する実験によって個体識別が地域による顔の模様の違いの影響を受けることが明らかとなった。本研究では次の段階として成魚に比べて社会的相互作用の経験が少ない幼魚が成魚と同様の実験を行った際の行動を観察した。もしもN. pulcherの異人種効果が経験によるものであれば、顔の模様の違いの影響を受けないと予測される。本研究会ではこれらの研究成果を報告し、議論する。

トゲウナギに追従する魚食性シクリッドの狩り戦略は両者にどのような利益やコストをもたらすのか? 橋本 爽良(M2)

 海産魚類では、1種または複数種(追従種)が特定の種(核種)の個体に追従し、核種の摂餌活動によって表出した餌を捕食する追従狩り戦略が知られる。追従によって、追従種は餌の探索時間の短縮、捕獲効率の向上、被食リスクの軽減などの利益を得ると考えられている。しかし、核種が得る利益や、双方が被るコストについては不明な場合が多い。本研究では、タンガニイカ湖産の魚食性カワスズメ科魚類Lepidiolamprologus elongatus(エロンガータス)が、トゲウナギ科魚類Mastacembelidae(トゲウナギ)に追従する狩り行動について調べた。この2種間の追従狩りの報告はあるが、行動の詳細や、両者の利益やコストは分かっていない。追従狩りにより、追従種は摂餌頻度を向上、核種は追従種が優先的に攻撃されることで他の魚から攻撃を回避する、つまり、相利共生関係にあるという仮説を立て、2種の追従行動を野外で追跡撮影し、行動解析を行った。予測に反し、両者ともに追従狩りによって摂餌頻度は向上しなかった。一方、追従によって、トゲウナギは他種に攻撃される頻度が有意に減少した。また、追従時は、エロンガータスの方がトゲウナギよりも有意に多く攻撃を受けていた。以上より、摂餌に関係する利益やコストは不明であるが、トゲウナギは追従によって他種からの攻撃を回避できるという利益を得ていることが明らかになった。トゲウナギによる追従の妨害が見られないのはこのためであると考えられた。本研究会では、胃内容分析などの結果も加え、2種の追従狩り戦略について議論する。

過去の研究会の発表者と発表要旨

過去の研究会の発表者と発表要旨はこちらからご覧下さい。

連絡先

安藤(研究会渉外担当) se23697g★st.omu.ac.jp
★を@マークに変えて送信してください。