動物社会学研究会のご案内

2023年12月13日

  • 研究会(2023年度)

第3回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ

第3回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。

外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。

開催概要

日時: 2023年12月16日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)

場所: 大阪公立大学 理学部E棟1階会議室(E108)
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)

発表内容

アユは顔に基づき個体識別し、Dear Enemy 関係を築くことで縄張りを維持している  林 耕太(M2)

 縄張りを形成する動物では、縄張りの防衛に怪我や時間のコストがかかるため、不必要な闘争を減らす必要がある。実際に、縄張り個体同士は、隣接する縄張り個体への攻撃性を低下させるDear Enemy関係(DE関係)を構築することが知られ、特に繁殖縄張りを長期間形成する鳥類で報告例が多い。DE関係の形成には他個体の識別が必要であるが、とりわけ、顔の模様は個体識別に重要な視覚刺激であることが知られている。このようにDE関係と個体識別は縄張り維持に重要な役割を担うと考えられるが、双方ともに明らかになった動物の例は少なく、縄張りを持つ動物に一般的な現象かも未だに不明である。両側回遊性のアユは、生活史の大部分を河川の中流域で過ごし、数ヶ月間という比較的短い時間、摂餌縄張りを形成して川底の藻類を防衛する。アユは日本では縄張りの例として最も有名な動物にも関わらず、DE関係や個体識別といった縄張り関係維持の仕組みを検証した研究はなかった。そこで、まず、アユがDE関係を形成するか検証した。隣接する水槽で実験個体を6日間見知らぬ個体と対峙させると、攻撃性は2日目から減少し、その後は低いまま一定となった。また、隣接個体を未知個体に入れ替えると攻撃性は再び増加した。この結果は、アユがDE関係を形成することを示唆する。次に、アユが相手の顔に基づき他個体を識別するか検証した。実験個体に、「隣接個体」、「未知個体」、「顔が隣接 体が未知」、「顔が隣接 体が未知」の4種類の画像モデルを提示した。その結果、未知個体の顔のモデルに強い攻撃性を示し、隣接個体の顔のモデルには低い攻撃性を示した。この結果はアユが顔で他個体を識別することを示唆する。これらの結果は、縄張りの種類や維持期間にかかわらず、縄張り関係の維持にはDE関係の形成が必要であること、魚類においては、他個体の識別に顔が共通して用いられている可能性があることを示している。

猛毒植物シキミ上の節足動物群の季節的動態  坂井 俊介(B4)

 温帯域に広く分布するシキミは、アニサチンという神経毒を含んでおり、植物で唯一劇物に指定されるほどの猛毒植物である。しかし、最近ヤマガラやヒメネズミなどの一部の動物たちが、シキミの中でも特に毒の多い種子部分を食べていることが分かった。 そこで、本研究ではまだ明らかになっていない節足動物のシキミ利用の実態を明らかにすべく、箕面国有林内の勝尾寺園地に自生するシキミ約20個体を対象に、当年枝と前年枝に分けて、シキミを食べる植食性昆虫や捕食性節足動物を年間通して経時的にカウントし、その一部を化学分析にかける。今年度は、その下地として、月に2回調査に行き、シキミを利用する節足動物の季節的動態を明らかにした。また、それと同時にシキミの葉の数、シュート長、虫こぶの分布なども記録し、シキミそのものの季節的動態も記録したため、シキミとシキミを利用する節足動物たちの食物網を解明した。本研究会では、LeafByteというアプリを使ったシキミの葉の被食率の季節的推移のデータも加え、シキミを起点とする食物網について議論する。

過去の研究会の発表者と発表要旨

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連絡先

安藤(研究会渉外担当) se23697g★st.omu.ac.jp
★を@マークに変えて送信してください。