動物社会学研究会のご案内

2023年12月19日

  • 研究会(2023年度)

第4回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ

第4回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。

外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。

開催概要

日時: 2023年12月23日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)

場所: 大阪公立大学 理学部E棟1階会議室(E108)
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)

発表内容

野外におけるミナミメダカの繁殖生態 〜夜間の動画撮影から分かってきたこと〜  岡本 鼓都里(B4)

 ミナミメダカ(以下、メダカ)は、日本発祥の脊椎動物を代表するモデル生物であり、約100年前から実験動物として用いられてきた。現在でも年間100本を超える論文が発表されるなど、盛んに研究が続けられている。しかしながら、多くのモデル生物同様に野生の基礎生態の知見は極めて乏しく、特に、野外での繁殖生態を明らかにした研究はこれまでほとんど無い。そこで本研究では、野生メダカの繁殖生態や行動に関する基礎的な知見を収集することを目的として、岐阜市の用水路や河川で、野外における繁殖期の特定、および行動観察を実施した。まず、繁殖期を特定するため、早朝に卵をつけているメスの有無を確認した。その結果、岐阜市の個体群の繁殖期は、6月下旬から9月下旬までの約3ヶ月間であることが明らかになった。次に、野外における夜間および早朝のメダカの動画撮影手法を確立した上で、繁殖期間中の動画撮影を実施した。その結果、深夜から明け方にかけて、求愛行動であるオスがメスを追いかける行動や求愛演舞が観察された。また、午前2時〜3時頃には腹部に卵をつけた産卵後のメスが確認された。これにより、メダカの繁殖行動は、従来考えられていたよりも早い、深夜から開始されていることがはじめて明らかになった。研究会では、メダカに関する先行研究と比較しつつ、本研究の結果について議論する。

自己意識は魚類の脳のどこに宿るのか 〜ホンソメワケベラの鏡像自己認知を用いた検証〜  小林 永慈(B4)

 言語報告ができない動物では自己意識研究は長年進んでこなかった。しかし、1970年にGallupが考案したマークテストにより、鏡像自己認知の検出が可能になり動物の自己意識研究がスタートした。これまでこの能力が確認された動物は、大型類人猿や一部の哺乳類、鳥類だけであり、自己意識の脳内機序を探る研究は困難であった。近年、当研究室は魚類であるホンソメワケベラの鏡像自己認知の実証研究に成功した。これにより動物の解剖学的な脳神経研究が行えることになり、ようやく動物の自己意識の神経基盤を探る研究が可能となった。自己意識には二つのレベルが想定されている。一つは自身の情報に注意を向けるself-awareness、もう一つがself-awarenessしていることを自覚するmeta-self-awarenessである。鏡像自己認知を形成するには自己と鏡像の対応関係について考える必要があり、自己を俯瞰した視点から見るmeta-self-awarenessは必須であると考えられる。そこで本研究では、魚類における感覚と運動の中枢であると考えられている中脳にself-awarenessの神経基盤があり、社会性を司る終脳にmeta-self-awarenessの基盤があるという仮説を立てた。すなわち、終脳を除去しmeta-self-awarenessの機能がなくなったホンソメワケベラは鏡像自己認知ができなくなると予想される。一方、すでに鏡像自己認知ができている個体は、中脳にその神経基盤が形成されているため、終脳を除去してもその能力は保持できると予想される。本発表では、現時点で得られているデータをもとに、上で述べた仮説と予想について議論する。

過去の研究会の発表者と発表要旨

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連絡先

安藤(研究会渉外担当) se23697g★st.omu.ac.jp
★を@マークに変えて送信してください。