動物社会学研究会のご案内

2024年1月1日

  • 研究会(2023年度)

第6回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ

第6回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。

外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。

開催概要

日時: 2024年1月6日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)

場所: 大阪公立大学 理学部E棟1階会議室(E108)
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)

発表内容

エビとハゼの共生関係は環境中の餌量で変化するのか?〜異なる環境に生息する同種エビ-ハゼペアの行動比較〜 長井 勇樹(M1) 

 テッポウエビ(以下エビ)とハゼの共生関係は、海産動物の相利共生の例として有名である。これまで、ハゼはエビの「捕食者を警戒」し、エビはハゼに「巣穴を提供」するというのが通説だった。しかし、この共生にはエビとハゼの関係を強く結びつける重要なことが隠されていた。それは「餌」である。近年、当研究室によって、底生動物食のハゼは自身の糞を餌としてエビに与え、エビは砂底を掘り返すことで底生動物をハゼに与えることが明らかになった。このようにエビとハゼの共生関係には餌が重要であることがわかってきているが、エビとハゼの繋がりの強さは種間で大きく異なる。例えば、共生相手なしには生きられない強固な「義務的共生」や、必ずしも共生相手がいなくても生きられる希薄な「日和見的共生」がある。エビとハゼの繋がりの強さに餌が強く関係しているのであれば、「義務的共生」と「日和見的共生」の違いは環境の餌量で説明できるかもしれない(=餌量仮説)。そこで、餌が豊富な環境と乏しい環境に生息する、同種のエビ-ハゼペアを対象に行動を比較し、餌量仮説を検証した。モンツキテッポウエビとヒメダテハゼ、ホリモンツキテッポウエビとギンガハゼのペアを対象に、沖縄県西表島に設定した5つの調査地において、餌の定量と行動観察を実施した。本研究会では、これらの結果に加え、エビとハゼの解剖による食性分析の結果を報告し、環境中の餌量とエビ-ハゼの行動の関係について議論する。 

イトヨにおける鏡像自己認知の結果と鏡の道具利用のはじまり 中野 翔太(M1) 

 鏡に映る姿を自分と認識できる能力である鏡像自己認知(MSR)は自己認識を示す一つの指標であり、マークテストにより検証される。マークテストは鏡がないと見えない部位につけられたマークを、対象が鏡を見てから触るかを確認する手法だが、マークに興味を持たない多くの動物には使えない。そこで、モデル生物であるイトヨ(ハリヨ)のMSRの可能性を、新手法の「顔入れ替え写真」実験により検証した。鏡を経験した後に自分顔の写真に対する攻撃量は、Dear enemy形成後の隣人顔写真及び未知個体顔写真に対する攻撃量よりも有意に短かった。これは鏡像を見慣れた隣人ではなく自分であるとみなしていることを示しており、イトヨが鏡像自己認知能力を有することを明らかにした。この新たな手法により鏡像自己認知能力の検証が他の多くの種で可能であることが期待される。今回モデル生物であるイトヨでも鏡像自己認知能力が発見されたことから、自己認識のために必要な神経系やDNAの研究が可能となることが期待される。

 さらにイトヨが因果関係、特にここでは鏡の反射の性質を利用できるかを明らかにするためにイトヨが鏡の道具利用をできるのかの検証を試みる。イトヨが鏡の道具利用をした場合、鏡面反射の性質を理解したといえ、より複雑な思考が可能であることが示せる。そこで、オブジェクトと餌場を結びつけることができるかを予備実験として行った。その結果から研究手法についての議論をしたい。

過去の研究会の発表者と発表要旨

過去の研究会の発表者と発表要旨はこちらからご覧下さい。

連絡先

安藤(研究会渉外担当) se23697g★st.omu.ac.jp
★を@マークに変えて送信してください。