動物社会学研究会のご案内
2025年12月2日
- 研究会(2025年度)
第2回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ
第2回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。
外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。
開催概要
日時: 2025年12月6日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)
場所: 大阪公立大学 理学部E棟108会議室
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)
発表内容
タンガニイカシクリッド30種における鳴音の記載とコミュニケーション研究 井上諒一(D2)
水中に生息する魚類は、これまで、主に視覚信号に頼ったコミュニケーションを行っていると考えられてきた。しかし、近年の水中収音技術の発展により、1000種以上の魚類が音声(以降:鳴音)を発することが分かってきた。東アフリカ・タンガニイカ湖に固有のカワスズメ科魚類は、婚姻形態や子育て様式、家族構成などの社会構造が最も多様化した魚類であり、このような複雑な社会を維持するために、個体間でコミュニケーションを積極的に行うことが予測される。実際に哺乳類や鳥類の研究では、社会構造が複雑化するほど、コミュニケーションはマルチモーダル化することが知られており、魚類においても視覚に加え、鳴音によるマルチモーダルなコミュニケーションを行っている可能性が高いと考えられる。しかし、本科魚類の鳴音の知見は乏しく、鳴音の有無やその機能は不明である。そこで本研究では、複雑な個体関係を持つタンガニイカシクリッドを対象に、視覚情報だけでなく鳴音を発するのか、発する場合どのような状況で鳴音を利用しているのか、また、音声信号はコミュニケーションとして機能しているのかを調査・検討することを目的とした。本研究会では、3回にわたるフィールド調査により収集できたタンガニイカシクリッド30種の鳴音の紹介に加え、一部の種で機能的に利用されていた鳴音について、その役割とコミュニケーションを行動の面から考察する。
野外におけるミナミメダカの代替繁殖戦術:スニーカー数と父性獲得割合の季節変化 北向祐人(M2)
幅広い動物分類群で、同種オスに複数の繁殖戦術がみられる現象(代替繁殖戦術)が知られる。戦術には、主に優位なオスがメスと独占的に配偶するペア産卵と、劣位なオスがペア産卵に寄生するスニーキング戦術が存在する。繁殖システムが多様である魚類では、代替繁殖戦術にかかわる研究も盛んに行われている。近年、季節変化に伴う、オスのコンディション悪化や水中の濁りが各戦術の出現および繁殖成功にかかわることが示唆されているが、研究例は少ない。ミナミメダカ(Oryzias latipes、以下メダカ)は室内実験において代替繁殖戦術の詳細な記載がされている。一方、野外で代替繁殖戦術の存在は確認されておらず、各戦術の出現および繁殖成功も不明である。本研究では、マイクロサテライト領域を使用した親子判定により、野外におけるメダカの繁殖戦術の存在割合および父性獲得割合を明らかにし、季節変化が与える影響や室内環境との違いを考察することを目的とした。前年度に行った3か月の調査、そして採集したメス個体と仔魚1153サンプルを用いたフラグメント解析の結果、メス85個体中17個体でスニーカーが確認された。スニーカーの出現に季節変化はみられなかった一方、メスの体長や体重、産卵数がスニーカーの繁殖成功に影響していた。研究会では室内実験で代替繁殖戦術を確認した先行研究と比較し、野外におけるメダカの繁殖戦術の実態について考察する。
過去の研究会の発表者と発表要旨
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連絡先
森(研究会渉外担当) sq25261i★st.omu.ac.jp