動物社会学研究会のご案内

2025年12月16日

  • 研究会(2025年度)

第5回 大阪公立大学 動物社会学研究会のお知らせ

第5回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。

外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。

開催概要

日時: 2025年12月20日(土) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)

場所: 大阪公立大学 理学部E棟108会議室
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)

発表内容

個体識別を通じて分かってきたハクセンコマチテッポウエビのペア形成のしくみ 高橋 昌悟(M2)

温帯から熱帯の海洋では多様な共生生物が生息する。しかし、海洋の共生研究の多くは短期観察や記載的な研究に留まり、共生関係の実態は不明である。共生者が宿主に「住み込み型共生」する場合、共生者は宿主から離れて生活できないため移動が大きく制限される。そのため性転換や宿主の操作など、特有の繁殖戦略を進化させる必要がある。ウミシダ類に住み込み型共生する動物も知られるが、共生関係の実態や共生者の繁殖戦略は不明である。これまでの愛媛県愛南町の室手海岸での研究により、コアシウミシダとナガレコアシウミシダの2種には、高確率でハクセンコマチテッポウエビ(以下、エビ)の雌雄のペアが住み込み型共生していることが分かった。そこで、エビの繁殖戦略の解明を目的として、個体識別した個体の長期の潜水観察と水槽実験を行った。その結果、1) 繁殖ペアはオスよりもメスの方が大きいこと、2) 雌雄のペアはサイズ同類交配をしていること、3) ほとんどのペアは宿主間を移動せず、性転換は確認されなかったこと、4) 今年生まれと思われる小型の個体が秋には数個体ウミシダ上に加入していたこと、5) 繁殖個体は同性に激しく攻撃するが、小型個体には攻撃を行わないこと、6) 小型個体同士でもサイズの近い個体間で闘争が見られること、などが明らかになった。研究会では、以上の結果を踏まえ、本種が宿主を離れることなく繁殖ペアを形成するしくみについて議論する。

サキンハゼ雄の特異な卵保護行動:野外操作実験による産卵床への砂かけ行動の機能解明 小林 龍太郎(M2)

動物の中には、外敵や競争者に対して餌資源や卵を「隠す」行動を示すものがいる。隠す行動は、視覚的な隠蔽効果に加え、物理的なアクセスの妨害など、多様な機能を持つことが陸上動物を中心に示されてきた。魚類では、自身が隠れるという行動は多く知られているが、自分以外のものを隠す行動はほとんど知られておらず、またその機能が検証されたことはない。西表島の砂底に生息するサキンハゼは海底の落ち葉の上に産卵し、卵保護中の雄は卵塊へ砂をかけたり、逆に砂を払い除けたりするという、他の魚類にはない特異な行動を示す。この砂かけ行動の機能解明のため、野外操作実験を実施した。保護雄の除去実験の結果、主要な卵捕食者は同種他個体であることが分かった。次に、卵塊上の砂の有無を操作した結果、砂で覆われた卵塊では卵捕食の発生が1/3に抑制され、砂かけ行動には卵捕食を遅延・抑制する効果があることが示された。さらに、産卵床の位置を移動させた実験では、卵捕食者の同種他個体は、元々産卵床があった場所に集まった。これは、サキンハゼが他個体の産卵床の位置を記憶していることを示している。また、卵保護雄の視界内に同種他個体が多く存在すると砂かけ行動がより頻繁に生じていた。以上より、サキンハゼの砂かけ行動は、卵の存在の隠蔽よりも、卵捕食を物理的に遅延・抑制する機能を持つと考えられる。さらに、本種は将来的に起こりうる卵捕食リスクを周囲の個体数や視線などから予測し、予防する戦略として本行動が機能している可能性を示唆する。

過去の研究会の発表者と発表要旨

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連絡先

森(研究会渉外担当) sq25261i★st.omu.ac.jp


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