動物社会学研究会のご案内

2025年12月15日

  • 研究会(2025年度)

第4回 大阪公立大学動物社会学研究会のお知らせ

第4回 大阪公立大学 動物社会学研究会は以下の内容で開催いたします。

外部の方もオンラインから参加可能です。皆様のご参加をお待ちしております。

開催概要

日時: 2025年12月19日(金) 13:00-16:00
(発表および質疑応答の進行に応じて前後する場合がございます)

場所: 大阪公立大学 理学部E棟108会議室
(外部の方はオンラインにて参加いただけます。お手数ですが、詳細はこちらの共通連絡先へお尋ねください)

発表内容

野外と水槽内におけるタンガニイカ湖産カワスズメ科魚類Perissodus microlepisの鳴音とその関連行動 福岡 旭(M2)

音声は、ヒトを含む多くの脊椎動物でコミュニケーションのための信号として利用されており、魚類でも音声(以下、鳴音)を発することが分かってきている。音声は複数の受信者に対して素早く情報を伝えられるというコミュニケーション上の利点があると考えられる。また、スズメ科鳥類のシジュウカラにおいては、ヘビの接近に気付いた個体が、ヘビの存在に対応する特異的な警戒音声を発することで、周囲の個体は特異的な回避行動を示す。このように音声はコミュニケーションにおいて離れた個体に対して瞬時に特定の情報を伝える信号であるといえる。タンガニイカ湖産カワスズメ科魚類Perissodus microlepisは両親が口内保育を行う魚であり、両親は口内で孵化した仔魚が泳げる大きさになると口から外に出し、放牧を行う。その際に危険が迫ると、子は一斉に素早く水底に張り付く危機回避行動を行う。動きや情報の伝達速度から、稚魚は親が発する特異的な鳴音を聞き行動している可能性が考えられる。そこで本研究では、飼育環境下で孵化〜放牧までの撮影を行った屋内実験と、野生下で放牧を行っているペアの様子を撮影・録音した野外データの両面から、本種の発する鳴音とその関連行動を調べた。その結果、水槽内においても野外においても侵入者に対する防衛行動に付随する鳴音は確認されたが、親が子に対して、危機回避行動を誘導する鳴音は確認されなかった。本研究会では、記録された鳴音と行動を紹介し、危機回避行動がなぜ起こるのか、親の行動など鳴音以外の要因についても考察する。

ホンソメ脳除去実験から迫る自己意識と脳の関係 小林 永慈(M2)

自己意識とは自身に関する情報に注意を向ける意識である。自己意識と脳の関係は主にヒトを対象として言語報告をもとに研究されてきた。しかし、ヒトでは適用可能な実験方法が限られており、自己意識を生み出すメカニズムについては明らかになっていない。言葉を話さない動物では自己意識の評価が難しいため、これまで動物の自己意識と脳の関係を調べた研究は行われていない。動物が自己意識をもつことを示す唯一の手段とみなされているのが鏡像自己認知を示すことである。しかし、これまでごく一部の動物でしか鏡像自己認知は示されていない。今回用いるホンソメワケベラは魚類の一種であり、それらの動物の中でも特に単純な脳構造を持つため、自己意識の神経基盤を調べる上では適した素材であるといえる。そこで、本研究では自己意識の神経基盤を探ることを目的として、ホンソメワケベラの脳の一部を除去し、鏡像自己認知への影響を調べた。脳を除去しても鏡像自己認知が可能であれば、その脳領域は自己意識を生み出すのに必須の領域ではない、すなわち、残った脳領域に自己意識を生み出す神経基盤が存在することが分かる。一方、脳を除去することで、鏡像自己認知ができなくなった場合、自己意識そのものが損なわれたと結論することはできないものの、自己意識が鏡像を自分であると理解するのに必要な神経基盤が失われたと解釈できる。本研究会ではこの前提にたって、今回除去した脳領域、及び除去されずに残った脳領域と自己意識の関係について議論したい。

過去の研究会の発表者と発表要旨

過去の研究会の発表者と発表要旨はこちらからご覧下さい。

連絡先

森(研究会渉外担当) sq25261i★st.omu.ac.jp


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