取り組み事例

2025年6月2日

  • 環境マネジメント推進室

建設現場での取り組み

森之宮キャンパスにおける環境への取り組み

森之宮キャンパスは良好な交通アクセスかつ大阪の東西都市軸の東部重要拠点である森之宮に立地するメインキャンパスとして、2025年秋に開設予定です。森之宮キャンパスには、基幹教育、文学、医学(リハビリ)、生活科学(食栄養)の教室が移転します。建設現場における環境への取り組みや新棟の環境性能の向上について、新校舎の施工を担当されている竹中工務店の川元一樹さん・圖師綾香さん、安井建設設計事務所の高橋尚哉さん、本法人施設課の佐々木晴子さん・晋川力さんにお話を伺いました。

 森之宮キャンパスの完成イメージ図

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森之宮キャンパスのコンセプト「知の森」のシンボルとして、大地をイメージした設計を採用し、柔らかな光と緑を豊かに取り込むことを重視しています。大阪産木材を使用したエントランスは、温もりを感じる空間を演出します。屋上空間には木々やベンチが配置され、訪れる人々に安らぎと開放感を提供し、学生のみならず地域住民にも開かれた場となります。図書館は地域や企業との連携を通じてイノベーションを生み出す拠点となり、食堂や図書館、体育館などが一棟に集約された設計は学生の利便性の向上を図っています。

キャンパスに導入した最新の建築技術

室内環境を改善しつつ大阪城の景観を損なわない設計となるよう、コモレビルーバーを導入しました。これは西日を直接遮るよう、縦ルーバーをランダムに配置したものです。正午時には一部の光が入り込み、室内に心地よい陰影を生むよう工夫しました。また、南・東・北側に設置された透け感のある有孔折板、コモレビスクリーンにより入射遮蔽を行ないつつ、景観を損なわないよう工夫しました。これらの建築技術により年間を通じて約46% 56%の日射量の削減を実現できるとされています。また、BEMSBuilding Energy Management System)の導入により建物のエネルギー使用状況を見える化し、省エネ取り組みの推進・啓蒙を行なえるようにしています。

 建設資源のリサイクルと施工時での工夫

基礎躯体材料においてセメントの60%70%をリサイクル材である高炉スラグの粉末に置き換えることでコンクリート由来のCO2排出量を6割削減できる「ECMコンクリート」 を採用しています。また、建築リサイクル法に基づき建設副産物を再資源化施設へ搬出するなど、省資源・資源循環の取り組みを実施しています。

中浜下水処理水の再利用

kensetu (3) 森之宮キャンパスでは隣接する中浜下水処理場での超高度処理水を雑用水(トイレ洗浄水など)の水源に活用し、上水の使用量を削減します。また、下水処理水の温度の変動幅が少なく夏は冷たく冬は暖かいという性質を空調設備の熱源に活用します。これにより一般的な空調方式と比較して約6%の省エネルギー効果があり、一次エネルギー消費量で年間2,755GJ、二酸化炭素排出量で年間100トンの削減効果が見込まれます(0.36kg-CO2/kWh 換算)。これらはキャンパスのカーボンニュートラルに資する取り組みとなるとともに、熱を空気中に排出しないためヒートアイランド対策にもなります。

建設の過程

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取材した感想

見学の前に、動画や多くの資料を用いて丁寧にご説明いただいたおかげで、知識の浅い学生でも工事中のキャンパスの特徴や工事過程、今後の見通しを理解することができ、大変有意義な学習の機会となりました。さらに、現場で黙々と作業を進める方々の姿を目の当たりにし、このキャンパスが形づくられていく過程に感謝の念を抱きました。下水処理水の熱利用や雑用水の再利用、コモレビルーバーによる日射調整、全熱交換機の導入など、ゼロカーボンを目指す革新的な技術が導入されていることを知り、非常に勉強になりました。森之宮キャンパスが環境に配慮したコンセプトを持つだけでなく、学生の空きコマの過ごし方や学校生活全般にも配慮が行き届いている点から、今後ますます魅力的な居場所になることを実感しました。多様な機能が集約されたこの次世代型キャンパスが、持続可能な建物としてシンボル的存在になることを期待しています。

その他本法人の環境パフォーマンス・環境活動は「公立大学法人大阪 環境報告書2024」をご覧ください。

https://www.omu.ac.jp/assets/environment2024.pdf

該当するSDGs

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