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2025年10月2日
イヌ由来の足場材の作製に成功 ~異種由来成分を使用しないイヌiPS細胞培養の第一歩~
人工多能性幹細胞(iPS細胞)は無限に増殖する自己複製能と、身体を構成するほとんどすべての細胞に分化する能力(多分化能)をもつ細胞で、再生医療などへの応用が期待されます。iPS細胞の培養には、細胞が培養皿の底面で接着および増殖するための足場となる培養基質が必要です。現在、イヌiPS細胞の培養基質には、主にヒト由来の組換えタンパク質が使用されています。しかし、これらはイヌにとって異種成分であるため、免疫拒絶や安全性に関する懸念がありました。
大学院生の志々田さんらの研究グループは、培養基質として用いられるビトロネクチン(VTN)およびそのN末端を一部欠損させた変異体(VTN-N)について、イヌ由来の遺伝子を用いてタンパク質を作製しました。これらのイヌ由来VTNおよびVTN-Nは、従来使用されていたヒト由来VTNと同等の性能を示し、イヌiPS細胞の未分化性と多分化能を維持できることが確認されました。本成果により、異種由来成分を使用せずにイヌiPS細胞を培養する技術の実現に大きく近づいたといえます。
本研究成果は、2025年9月16日に国際学術誌「Regenerative Therapy」に、オンライン掲載されました。
また、大阪公立大学からプレスリリースされました。 リンクはこちら