植物園の概要

メタセコイア-全景

 当園は1950年に大阪市立大学理工学部附属の研究施設として発足し、以来、植物学の基礎研究の対象として多くの植物の収集と保存に努めてきました。なかでも、日本産樹木の収集には力を注ぎ、野外で生育可能な300種以上を植栽し、わが国の代表的な11種類の樹林型を復元しています。また、メタセコイアに代表される新第三紀の森林復元も行っています。これらの樹林型の中には、過去に大阪にも分布していたものが多数含まれます。植物園では、それらの復元樹林の推移を長期的に観察することで、環境変動と植生との関わりを実証的に解明しようとしています。

 現在、地球上に生育する植物の約20%が絶滅の危機に瀕していると言われています。当園は、社会的課題となっている絶滅危惧植物の保全活動も推進しています。特に、西日本産の絶滅危惧植物の収集に注力しており、遺伝的多様性の解析や増殖方法の開発を行っています。そのほか、系統的に重要な外国産植物の収集・展示も行っています。

 当園は、これらの収集物を広く研究者に提供し、植物学の発展に貢献しています。また、研究の成果を社会に紹介する活動を行っているほか、園内を皆様に広く公開しています。

立地・用地・施設

生駒山系の北西部、標高40~120mに位置し、淀川支流に面する扇状系の斜面で4つの尾根と3つの谷を含む起伏に富んだ地形となっています。

■用地面積  255,300㎡

主な施設 延面積
研究棟 993㎡
作業棟 862㎡
事務所

170㎡

展示室 134㎡

沿革

1941年3月 「満蒙開拓団」として移住する人たちの訓練施設「大阪市興亜拓殖訓練道場」として開設
1945年9月 農事指導等を行うための「大阪市立農事練習所」(経済局)
1950年4月 大阪市立大学に移管され、理工学部附属植物園となる
1959年4月 理工学部分離に伴い、理学部附属植物園となる
2021年4月 大阪市立大学附属植物園となる
2022年4月    大阪公立大学附属植物園となる

研究

植物園では国内外のさまざまな植物を遺伝子資源として種子、あるいは生きた状態で収集保存しています。それらを含めた種々の植物の系統進化学的・環境応答学的な側面を分類学、生理学、生態学、育種学の手法を用いて研究しています。
研究成果は植物の保全、あるいは将来における人類の生活向上のために必要な情報として広く一般にも公開しています。
※収集植物(2021年3月現在)
 約5,000種類 約30,000本

絶滅危惧植物の保護

地球環境悪化に伴い、多くの野生植物が絶滅を危惧されるようになり、大きな問題となっています。このような状況の中、植物園では全国的に絶滅を危惧される植物、さらに近畿地方で絶滅を危惧される植物たちの保全を行っています。