中世史ゼミ

中世史ゼミ

(1)日々の活動

 大阪公立大学文学部日本史コースでは、学部の中世史の授業として、日本史講読Ⅱがある。2回生で受講する日本史講読Ⅱでは、中世の基礎的な史料の読解を行う。そして3回生では、大学院生の研究会に自主的に参加し、中世史料の読解力をさらに深めていく。

 この他、2023年度、仁木先生は、日本社会の歴史(基幹教育科目)、人間文化基礎論1b、日本史通論Aなどの科目を担当しておられ、それぞれ中世史に関する講義や講読形式の授業をなされている。大学院演習(博士前期課程)は、『中世法制史料集』に収録されている、各地の戦国大名などが発給した法令の読解を受講生みなで取り組んでいる。

 中世史の研究会は、週1回、昼過ぎから夕方まで開催され、院生・学部生による研究報告が行われる。守護・戦国大名・織豊政権や、中世の地域社会・都市・商業など報告テーマは多岐にわたり、議論は長丁場になることも少なくない。これとは別に、院生と学生が合同で行う勉強会も開催している。本年度は、山城国一揆に関係する諸史料をテキストにし、中世史を専攻する院生と、中世史専攻を希望する学生による史料読解や報告発表の場となっている。

(2)合宿と遠足

 中世史ゼミでは、12ヶ月に1回、近畿圏を中心に中世(織豊期まで)の都市・集落遺跡、城跡などを見学している。他大学の教員や地元自治体職員の方など、専門家に案内を乞うこともある。また、遠足の拡大版として、春と夏の年2回、それぞれ34日の合宿を行い、日帰りでは行けない全国各地の中世史跡を巡見している。

 見学先は以下の通りである。見学地の詳細は、仁木先生の専用ページでも紹介しているため、そちら(中世史:仁木 宏 教授 – 大阪公立大学 日本史研究室)もご参照頂きたい。

 

【遠足】〔摂津〕:伊丹、飯盛城、芥川城、富田寺内町、小浜寺内町、西国街道、兵庫津 〔河内〕:若江城、三日市、烏帽子形城、富田林、大ヶ塚寺内町、中世石造物調査(四條畷市) 〔和泉〕:堺、岸和田城、松尾寺、日根野、土丸・雨山城 〔大和〕:稗田、若槻環濠集落、高取城、薬師寺、西の京、新庄陣屋、奈良町、龍田、平群谷・信貴山城 〔播磨〕:加古川、英賀寺内町、東条谷、三木城、書写山 〔近江〕:小谷城、安土城 〔丹波〕:八上城 〔紀伊〕:太田城、亀山城、雑賀 ほか


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遠足(滋賀県近江八幡市、2023年4月)安土城址

 

【合宿】筑前・肥前(06年春)、信濃(06年夏)、薩摩(07年春)、陸奥(07年夏)、美作(08年春)、三河(08年夏)、讃岐(09年春)、上野(09年夏)、土佐(10年春)、能登(10年夏)、周防・石見(11年春)、仙台(11年夏)、豊後(12年春)、加賀(12年夏)、遠江・駿河(13年春)、伯耆・出雲(13年夏)、肥前(14年春)、阿波(14年夏)、越中(15年春)、安芸(15年夏)、上野(16年春)、西土佐・西予(16年夏)、肥後(17年春)、甲斐(17年夏)、長門・豊前・筑前(18年春)、播磨(18年夏)、相模・安房・上総(19年春)、備中・備前(19年夏)、[コロナ禍により一時中断]、日向(22年夏)、伊予(23年春)。

 見学のあとは懇親会を開き、ご当地食材や地酒などに舌鼓を打つのも、楽しみの1つである。


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大山祇神社巡見(2023年3月春合宿)

(3)中世史専攻院生を取り巻く環境

 中世史専攻の院生の多くは、大阪府や奈良県・京都府などの博物館・資料館や市史編纂室などでのアルバイト経験がある。こうした専門職でのキャリアを積むことへのサポートが厚い。

 大阪歴史学会・日本史研究会を中心としつつも、戦国・織豊期研究会、中世史研究会(名古屋)、地方史研究協議会、日本古文書学会などでの研究報告の機会も提供されている。そして、『ヒストリア』、『年報中世史研究』、『織豊期研究』、大阪公立大学日本史学会発行の『大阪公大日本史』、大阪公立大学都市文化研究センター発行の『都市文化研究』や文学研究科発行の『人文研究』などへの論文投稿も精力的に行われている。これらについての仁木先生の指導も懇切である。

 ここ数年の、中世史ゼミ(大学院)出身者の就職先(正職)としては、大阪歴史博物館、高槻市立しろあと歴史館、泉佐野市文化財保護課、宇治市歴史資料館、福井県立若狭歴史博物館、石川県金沢城調査研究所、高知県立歴史民俗資料館、竹原市文化生涯学習課などが挙げられる。仁木先生の門下で努力を重ね、歴史学(中世史)を職業とする道を拓き、活動している若手研究者も非常に多い。

(4)院生としての「生活」

 社会で働きながら学んでいる院生や他大学が出身で本大学大学院に進学した院生もいる。こうした受講生が先生の下につどい、日々研究にまい進している。

 仁木先生は、院生が大学の研究室のみにとどまることをよしとせず、積極的に全国各地の都市や城跡、資料館や博物館などに連れだし、本をめくっているだけでは味わえない、現地でのナマの史資料に触れることの楽しさを教えてくれる。

 そうして色々な地域の歴史に触れた院生の研究テーマは、地方都市や流通、城館、大名についてと実にさまざまで、皆が自由にのびのびと自身の興味を持った分野について取り組める環境となっている。             

 

文責:2023年度M1 岡本侑樹