研究紹介

大阪公立大学人工光合成研究センターは、人工光合成社会の実現に向け、光合成・人工光合成研究 を進める教員が基礎研究から応用研究まで幅広い研究活動を行っています。 これまでの研究技術開発の成果の中から、代表的なものをまとめて紹介します。

生体触媒研究部門

 生体触媒研究部門では、二酸化炭素固定機能やアンモニア固定機能を有する生体触媒の反応機構解明と、これら生体触媒と分子系色素・金属錯体触媒とを複合化したハイブリッド型の光駆動型二酸化炭素変換系の構築を目指し基礎及び応用研究を進めています。また二酸化炭素を原料として生成した有機分子を効率的に分解し水素を獲得するための均一系微粒子触媒やその反応制御に関する研究開発も進めています。

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構成員

その他 研究補佐員


生体エネルギー論研究部門

 生体エネルギー論研究部門では、生体に特有の高効率なエネルギーや物質変換の分子メカニズムを解明し、エネルギー生産への活用を見出す研究を進めています。現在は、光合成の高エネルギー物質生産系を駆動するために太陽光エネルギーを励起エネルギーに変換する「光合成アンテナ色素タンパク質複合体」の機能と構造に着目し、藻類の栽培からタンパク質・色素の改変、構造解析に取り組んでいます。また生体のエネルギー変換機構を生体外で模倣し、物質生産に結びつける研究も進めています。

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構成員

  • 藤井 律子

    藤井 律子(准教授)


化学反応場研究部門

 化学反応場研究部門では、物質と物質(もしくは光子)が近接した時に生じる化学反応が起こりそうなポテンシャル面のことを「化学反応場」と定義し、その様な場の成り立ちとエネルギー論について研究しています。場の成り立ちにおいては、物質を取り囲む環境(これもまた物質)との相互作用が重要な支配因子です。ある反応が、気相で起こるのか、それとも溶液中や固体表面、また酵素内部なのかによっても反応性が全く異なることが普通だからです。

 本部門では、特に光合成明反応で起こっている反応系(酸素発生反応、ヒドリド還元反応、電子移動反応)に注目しています。これらの反応について、フラスコや計算機の中でしかできない人工的な反応場を実験(計算)で試験し、比較検討することによって、その反応場特有の反応性と、逆に反応場に依らない固有の反応性を抽出し明らかにすることを目的としています。また、この様な、物質と化学反応場との相互作用の研究において、特に有用なものについては、光エネルギーから化学エネルギーへの変換装置の動作原理として活用できないか、実際のデバイス製作も含め日々研究を進めています。

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構成員

  • 松原 康郎

    松原 康郎(准教授)