化学バイオ工学科の研究

RESEARCH

化学バイオ工学科の研究

  • 01 細胞工学研究室
  • 02 生体材料工学研究室
  • 03 物理分析化学研究室
  • 04 材料化学研究室
CLOSE-UP 01

細胞工学研究室

東 雅之教授

酵母や大腸菌をモデルとして、
微生物の可能性を探究

バイオテクノロジー分野で重要な役割を担っている微生物の利用。すでに細胞内の多くの現象が解き明かされ、本格的な応用研究が進んでいます。なかでも当研究室では、酵母や大腸菌をモデルとして微生物の可能性を探究。遺伝子工学的手法を用いた改良によって、食品・環境・エネルギー・医薬など幅広い分野への応用をめざしています。特に私が注目しているのは、酵母の表層構造です。古来、発酵や醸造などに利用されてきた酵母は、増殖スピードが速く、応用性が高い。その表層は頑強で、加工にも適しています。しかも酵母の表層には、免疫を活性化させる構造体があるため、例えば食品分野であれば、免疫機能を最大限に発揮できるパン酵母が作れないかと改変を進めています。さらにパン酵母の変異株には細胞自体に強い乳化作用があることを見出し、特許を出願。免疫賦活作用と乳化作用を併せ持つ成分の応用に向けて、メーカーと協働し研究を進めています。

最新の技術を駆使することで、
新しい世界を開ける分野

一方、金属を吸着させる酵母細胞壁の機能を活用すれば、有害な重金属や稀少なレアメタルを回収することも可能です。研究では、多糖のリン酸化を行うことで吸着力が高まる現象を発見。実用化に向け、さらなる高機能化や低コスト化にチャレンジしています。ほかにも酵母を活用した副作用の少ない抗真菌薬の開発や、微生物燃料電池に適した触媒微生物の開発などにも取り組んでいます。微生物燃料電池とは、微生物が糖などの有機物を代謝することで作り出される電子を、電気エネルギーとして取り出す装置のこと。大腸菌の遺伝子を改変することで、実用化に必要な出力の向上をめざしています。現在すでに、遺伝子組換えだけでなく、酵母の染色体を人工合成する技術も確立されています。さらに研究を進めれば、思いも寄らないところにも微生物を応用できるはず。古くから活用されている細胞に対し、最新の技術を駆使することで、新しい世界を開ける...非常に面白い研究分野だと感じています。

微生物を改変し、 食品・環境・エネルギー・医薬など 幅広い分野に応用。

CLOSE-UP 02

生体材料工学研究室

立花 亮教授

研究室で2つの世界初の発見を達成

核酸(RNA)医薬の開発が研究テーマです。細胞内に存在するマイクロRNA(microRNA)には、さまざまな特性があり、例えばその中の一つにガンを治す働きがあります。この性能を高めるための研究に取り組み、二本鎖RNAであるmicroRNAの片方の鎖を長くすると、3~4倍性能が高まることを本研究室が世界で初めて発見しました。現在、医薬品への応用をめざし、さらなる高性能化や安全性などを追究しています。一方、microRNAにはガン細胞を作り出す「ガンmicroRNA」と呼ばれるものもあります。この「ガンmicroRNA」を阻害することで、ガン細胞の増殖を抑制することから、microRNA阻害剤は次世代の医薬品として期待されています。これまでのmicroRNA阻害剤は化学修飾したRNAを使うのが普通でしたが、私たちの研究室は世界初となるDNAから成るmicroRNA阻害剤を作製。DNAとmicroRNAの結合部位の両端を二本鎖にすることで、通常の約2000倍まで2つの物質の親和性を高めることに成功しました。DNAを用いることで、製造を容易にするとともに低コスト化を実現し、こちらも医薬品への実用化に期待が高まっています。

自由な発想が、失敗を成功へと導く

これら2つの研究は、2012年文部科学省の大学発新産業創出拠点プロジェクトに採択され、事業プロモーターのバイオ・サイト・キャピタル(大阪府茨木市)と共同で、microRNA関連技術でベンチャー企業の設立・育成をめざしています。実社会と直接的なつながりを持ち、社会に役立つ製品の開発を手がけられるのも研究の魅力でしょう。ところで、思っている通りにならないことは失敗なのでしょうか。「失敗は成功のもと」という言葉がありますが、「思っている通りにならない」ことは、私たちにとって、大成功につながる扉なのです。自由な発想を持って、いろんな可能性を追求してみてください。

RNAを利用した、 世界最先端の創薬研究に取り組む。

CLOSE-UP 03

物理分析化学研究室

辻 幸一教授

自分たちで分析機器の設計・開発を行う

独自に設計した三次元蛍光X線分析装置を活用した微小部の非破壊元素分析に取り組んでいます。元素分析とは物質を構成する元素の種類と量を決定する方法で、X線を利用することにより、試料を傷つけることなく、その内部の分析が可能になります。多くの研究室では分析装置を購入しますが、当研究室では特定の目的に適した分析装置を自前で作製。X線管や検出器、試料ステージなどを使いながら、自ら分析装置の製作を体験することで、分析装置の構成や分析原理を理解します。

次世代のX線元素イメージング法と
国際標準化をめざす

当研究室では企業や社会との関わりを重視しています。例えば、鉄鋼会社と鋼板の腐食に関する共同研究を進めるほか、科学捜査研究所との連携事業では、自動車事故現場に残された自動車鋼板の塗膜のカケラを三次元蛍光X線分析法で分析。その結果、車種や製造年代を特定することができ、事件の捜査に威力を発揮すると期待されています。またX線元素イメージングの手法の開発研究にも取り組んでいます。試料の位置を動かしながら微小部の蛍光X線分析を行うと、最終的に目では識別できない元素の分布を可視化できます。当研究室ではX線カメラを用いることで、試料を動かさず、デジタルカメラでカラー写真を撮るように、元素イメージングを行う手法についても研究。ベルギーの大学との共同研究により、絵画や考古物の非破壊分析を行い、それらの保存や修復に役立っています。これらの研究とともに、微量分析を可能にする全反射蛍光X線分析法については、ISO国際標準規格の制定をめざして国際共同研究を展開。実社会とのつながりを深く持つとともに、世界レベルの研究を実践できる環境を整えています。

最先端のX線分析法を開発し、 元素の分布を可視化する。

CLOSE-UP 04

材料化学研究室

小畠 誠也教授

光機能性有機材料の設計、
合成および物性評価

当研究室では、光機能性を有する有機材料の創成に取り組んでいます。その一つであるフォトクロミック材料は、紫外線を照射すると、無色から鮮やかな色に着色します。さらに可視光をあてると、再び元の無色に戻ります。この現象は、光により、分子の構造が可逆的に変化することに由来します。この研究成果は光によって書き換えできる光プリント材料などに応用できる可能性があります。これまでの研究の中で、大発見もありました。フォトクロミック化合物の薄い結晶に紫外線を照射すると、正方形の結晶が菱形に変化しました。このような現象は世界で初めて確認されました。さらに、他大学と共同で研究を進めたところ、光で瞬時に“変形”する結晶を発見しました。この結晶の動きを利用すれば、光で駆動するマイクロマシンやマイクロロボットへの応用も不可能ではないと思われます。まだまだ夢のような話ですが、髪の毛より細いマイクロロボットを開発すれば、血栓の解消など医療に使えるかもしれません。ちなみにこの研究成果は英国の科学雑誌『Nature』に掲載されました。

思った通りに機能した時には
感動を味わえる

当研究室では、物質の合成から機能の評価まで行っています。新しい物質をつくることは楽しく、つくり上げた物質が思った通りに機能した時には感動します。これが研究の醍醐味です。一方、予想外の結果であっても、見方を変えれば大発見につながる可能性があります。それを見極めることが大切であり難しくもあります。そのためには発想力も重要であるため、研究室ではディスカッションや研究発表の機会を数多く設けています。その中で新たなアイデアが生まれることも多々あります。大学入学を志す諸君には、常日頃から身近なことに対して「なぜ?」という疑問をもち、それを知り得ようとする気持ちを大切にしてもらいたいですね。

新しい物質をつくり、 さまざまな応用への可能性を 社会に提示する。

RESEARCH FIELD

化学バイオ工学科の研究分野

エネルギー物質化学領域

環境と調和しながら永続的に発展する社会を実現するためには、持続可能エネルギーとそれに関わる物質化学の研究が不可欠です。そこで、本研究領域では、「無機化学」「物理化学」「分析化学」などの学問を基礎とする物質化学に関する基盤研究から、「電池」「ナノマテリアル」「有害物質処理」などへの展開を目指した工学的応用研究まで、取り組んでいます。

無機エネルギー化学

エネルギー・環境問題を解決するため、「蓄電池」・「人工光合成」・「燃料電池」をキーワードとする無機材料の研究を進めています。具体的には、金属酸化物や金属錯体といった無機材料を原子・分子・ナノサイズのレベルで構造制御し、複合化することで機能の向上に取り組んでいます。

無機エネルギー化学イメージ
リチウムイオン電池の模式図(左)と触媒ナノ粒子(右)
無機エネルギー化学のサイトへ
物理分析化学

微小部・微量分析法の開発と応用研究に取り組んでいます。最近ではX線分析技術を応用して試料の三次元元素分布の可視化に成功。この手法を環境試料、生物試料、文化財試料、鑑識資料などの精密解析に利用しています。

物理分析化学イメージ
X線CCDカメラを用いたフォトンカウンティング方式による全視野蛍光X線元素イメージングの取得例 (試料:電子プリント基板)
Full field XRF elemental imaging by single photon counting analysis using X-ray CCD camera. (Sample: electronic printed circuit board)
物理分析化学のサイトへ
担当教員
教授 山田 裕介
詳しく見る
教授 辻 幸一
詳しく見る
准教授 有吉 欽吾
詳しく見る
特任助教 松山 嗣史

分子科学領域

原子・分子レベルで物質を設計し、機能性を有する有機分子・有機材料・高分子の合成を行い、持続可能な未来社会の実現に貢献できる新物質・新材料の創製を目指しています。特に、有機合成反応の開発、機能性高分子合成、高分子物性制御、光機能物性制御などに取り組み、光学・エレクトロニクス・創薬・医用分野などで応用が期待できる物質創製を進めています。このような物質創製を通して必要な素養を教授し研究者・技術者として将来活躍できる人材の育成を行っています。

有機・高分子化学

新規な有機・高分子材料の創生やその化学反応メカニズムの解明を目指し、多成分系高分子の相溶性と結晶構造解析、フィラー分散高分子の導電性評価、感光性高分子の開発、活性種と有機化合物との化学反応性解析、遷移金属錯体の合成、金属錯体を用いた触媒反応の開発、機能性有機化合物の合成に取り組んでいます。

二酸化炭素、プラスチック、バイオマスなどの資源循環に貢献できる触媒・触媒プロセスの開発に取り組んでいます。また、原子レベルで精密に制御された活性サイトを有する新奇な固体触媒や有機・無機ハイブリッド触媒の設計・開発により、グリーンケミストリーにも貢献します 。

有機・高分子化学イメージ
ポリフッ化ビニリデン球晶の偏光顕微鏡写真(左)と環状イリジウムジアミン錯体の分子構造モデル(右)

rf14

酸化セリウム担持ルテニウムナノ粒子触媒(左)と酸化セリウムと2-シアノピリジンから成る有機・無機ハイブリッド触媒(右)
堀邊研究室のサイトへ
田村研究室のサイトへ
機能分子化学

制御重合や高分子反応の精密制御を基盤とする分子設計を行い、従来の高分子材料では達成できないスマートマテリアルの開発を行っています。省エネルギー・省資源化に有効な解体性材料や刺激応答性材料への応用にも取り組んでいます。

機能分子化学イメージ
モノマーシークエンスにより性能が異なる易解体性接着材料:ブロック共重合体(左)とランダム共重合体(右)
機能分子化学のサイトへ
材料化学

次世代材料として期待される光機能性有機材料の合成とその性質を研究。光メモリ素子、表示素子、光センサー、サーモセンサー、フォトアクチュエーターなどへの応用が考えられます。さらに新しい表示素子材料、有機系の発光材料などの開発にも取り組んでいます。

材料化学イメージ
紫外線照射すると着色し、可視光線照射すると元の無色に戻る機能性材料
材料化学のサイトへ
材料化学研究室の紹介動画
担当教員
教授 堀邊 英夫
詳しく見る
教授 佐藤 絵理子
詳しく見る
教授 小畠 誠也
詳しく見る
准教授 田村 正純
詳しく見る
講師 北川 大地
詳しく見る

化学バイオプロセス工学領域

化学と生物分野の境界領域での研究を促進することを目的に、本領域では化学プロセスとバイオプロセスを融合した環境調和型反応プロセスの開発を行っています。具体的には、高圧技術、反応工学、晶析技術、酵素反応などを駆使し、バイオマスリファイナリーや環境汚染物質無害化の研究に取り組んでいます。

反応化学工学

高圧力技術を用いた環境に優しい化学プロセスの研究を行っています。亜臨界・超臨界流体を反応場とする環境汚染物質の無害化、高圧下の食品や生物物質の物性と機能の解明、光触媒によるバイオマスの化学変換などに取り組んでいます。

反応化学工学イメージ
約3000atmの高圧下でその場観察した多糖類ゲルの写真とP-T相図
反応化学工学のサイトへ
生物化学工学

木質系バイオマスからのエタノール生産など、木質系バイオマスの100%利用をめざして、その成分であるリグニン、ヘミセルロース、セルロースの効率的な分離、およびそれらの有効利用について検討しています。また、医薬品・化学品の製造工程における手順とコストを削減する晶析プロセスの高度化にも取り組んでいます。

生物化学工学イメージ
アミノ酸の一種であるグリシンの光学顕微鏡写真
生物化学工学のサイトへ
担当教員
教授 米谷 紀嗣
詳しく見る
准教授 五十嵐 幸一
詳しく見る

バイオサイエンス領域

全ての生命現象は、核酸・タンパク質・糖質をはじめとする多種多様な生命分子が織りなす化学反応により成り立っています。バイオサイエンス領域では生命現象を化学の言葉で理解し我々の生活に活用すべく、そのメカニズムの解明や有用物質の創製を進めています。具体的には、生体高分子をベースとした医用材料の創製、スフィンゴ脂質類縁体の合成及びアポトーシス誘導機構の解明、酸化還元タンパク質の構造機能相関、高機能性人工抗体の開発などの研究を行っています。

生体機能工学

抗炎症剤・抗ガン剤およびそれらのデリバリー材料を含む医療材料の開発について研究を展開。例えば瞬時にゲル状になって出血部位を覆う新しい止血剤や皮膚疾患の炎症を抑える効果のあるショウガ由来化合物など、医療現場で役立つツールの開発に取り組んでいます。

生体機能工学イメージ
化合物の抗腫瘍効果により大部分のガン細胞が死滅している
A:ヒト子宮頚ガン由来HeLa細胞
B:Aに抗腫瘍効果のあるショウガ由来化合物を添加し、
24時間培養後の様子
生体機能工学のサイトへ
生物分子工学

遺伝子工学を用いたタンパク質の研究を実施。遺伝子工学を使って設計図を書き換え、ヒトにとって有効なタンパク質を作り出すという研究も行っています。これらの研究は、抗体医薬品としての抗ガン剤や病原性微生物に対する抗菌薬の開発に応用できます。

生物分子工学イメージ
DNA塩基配列自動解析装置を用いて得られたDNA塩基配列を表す波形データ
生物分子工学のサイトへ
担当教員
教授 長﨑 健
研究科長
詳しく見る
教授 北村 昌也
詳しく見る
准教授 中西 猛
詳しく見る
講師 東 秀紀
詳しく見る

バイオエンジニアリング領域

21世紀を迎え、生命現象の理解が飛躍的に進み、これらの知見を基盤とするバイオ技術が、人類に多大な貢献をする時代を迎えています。バイオエンジニアリング領域では、多様な生物が織りなす巧みな生命現象を、工学的な観点から応用し、人類の健康、新エネルギーの開発、環境保全などに役立つ物質や技術の創出を目指します。生物化学工学、生体材料工学、細胞工学、創薬生命工学の4分野が連携し、教育と研究を実施しています。

生体材料工学

iPS細胞などから作った組織細胞で病気を治療する「再生医療」の実現に向けた工学領域からのアプローチを行っています。また、高性能なmicroRNAやDNAでできた世界初のmicroRNA阻害剤LidNAなど「核酸医薬」の開発も行っています。

生体材料工学イメージ
羊毛タンパク質で作製した多孔体細胞足場の上で増殖するマウス線維芽細胞
生体材料工学のサイトへ
立花亮教授の講義動画
Twitterアイコン 生体材料工学研究室
Twitter
細胞工学

新たな機能を持った微生物の探索と酵母や大腸菌をモデルに人工的な機能性細胞の構築に取り組み、バイオ産業への展開を図るとともに、いまだ謎の多い細胞の理解を進めながら、工学領域への展開をめざします。

細胞工学イメージ
酵母の細胞分裂した痕跡
細胞工学のサイトへ
細胞工学研究室の紹介動画
創薬生命工学

高性能バイオ医薬品の創製をめざし、 ゲノム編集など生命工学技術を駆使した新しいモノクローナル抗体作製技術の開発を実施。また、これまでにないユニークな抗体利用法の研究にも取り組んでいます。

創薬生命工学イメージ
特異的抗体を用いた神経前駆細胞の免疫染色像
(青:神経前駆細胞マーカー、緑:クロマチンタンパク質、赤:DNA)
創薬生命工学のサイトへ
担当教員
教授 東 雅之
詳しく見る
教授 立花 太郎
詳しく見る
教授 立花 亮
詳しく見る
准教授 尾島 由紘
詳しく見る
講師 横山 智哉子
詳しく見る

協力研究室

環境・エネルギー問題の解決に貢献する固体触媒・光触媒の開発に取り組み、人工光合成をはじめとする環境調和型化学反応システムの構築を目指しています。優れた固体触媒の創製を目的として、各種分光法を利用した物性分析と分子レベル・ナノレベルでの材料設計も行っています。

環境材料化学

抗炎症剤・抗ガン剤およびそれらのデリバリー材料を含む医療材料の開発について研究を展開。例えば瞬時にゲル状になって出血部位を覆う新しい止血剤や皮膚疾患の炎症を抑える効果のあるショウガ由来化合物など、医療現場で役立つツールの開発に取り組んでいます。

環境材料化学イメージ
触媒活性・不活性サイトのナノ空間分布マッピング
環境材料化学のサイトへ
担当教員
兼任教授 吉田 朋子
詳しく見る