Research

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研究テーマ

PPP

精密単独測位(PPP : Precise Point Positioning)とはGNSSを利用した測位方式の一つである。精密な衛星の軌道・時計誤差情報を用いることにより、単独受信機のみでセンチメートル級の測位精度を可能にする測位技術である。地上基準局が不要なため場所に依らず高精度な測位を行える点から、多くの分野でPPPの利用が期待されている。そこで、本研究室ではPPP技術による航空機のセンチメートル級測位に取り組んでいる。

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図1 PPPとRTK-GPSの比較

GNSS/INS複合航法

衛星航法(GNSS)は、何時でも何処でも簡便に測位が可能なシステムとして広く利用されているが、その電波の微弱さのため、多重伝搬(マルチパス)、電離圏異常、電波干渉等の環境におけるシステムの脆弱性が常に懸念されている。そこで、電波に依らない慣性航法装置(INS)と複合すると共に、複数の素子を持つアレーアンテナによって衛星の選択/排除機能を備えたロバストな航法技術の研究開発を行う。

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図2  空港面の電波環境とGNSS/INSによる高信頼化航法

アレーアンテナ

複数のアンテナ素子を用い,その振幅と位相を調整することでアンテナパターンを制御可能なアンテナ

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図3 アレーアンテナの指向性パターン

GNSS反射波に関する研究

航空交通管理

世界の航空交通量は今後大幅に増加すると予想されており、それに伴う運航効率の低下や航空管制官の負担の増大等が将来的な課題となっている。 これを解消する手段の一つとして、巡航中の航空機に対して時間管理を行う新しい航空管制システムが検討されている。 一方で安全上の観点から、航空機間の干渉は避けねばならない。そのため新システムの実運航への適用に向けて、干渉の影響を考慮したシステムの有用性の検討・評価が必要となる。

そこで本研究室ではその評価に向けて、 航空機間で干渉が生じないような最適経路設計手法に関する検討を行っている。

研究論文および発表

  • 竹内優斗,辻井利昭:マルチアンテナGPSにおけるマルチコプター姿勢推定と信頼性向上に関する研究,第62回飛行機シンポジウム、2024年10月15-17日、福井 (2024)  学生優秀講演賞受賞
  • 八杉尚樹,辻井利昭:移動体に対するGNSSスプーフィング攻撃の検知と除去第62回飛行機シンポジウム、2024年10月15-17日、福井 (2024)  学生優秀講演賞受賞
  • 北村章人:両円偏波アンテナを用いたGNSS反射法による地表面特性推定と改善手法の検討,測位航法学会 全国大会,2024年5月22日-24日,東京海洋大学越中島会館セミナー室 (学生最優秀研究発表賞受賞)
  • 瀬間晶穂:測位航法学会 GPS/GNSSシンポジウム2023、2023年10月25-27日、 東京海洋大学 越中島会館 (ポスターセッション最優秀ポスター発表賞受賞)
  • 八杉尚樹:測位航法学会 GPS/GNSSシンポジウム2023、2023年10月25-27日、 東京海洋大学 越中島会館 (ポスターセッション優秀ポスター発表賞受賞)
  • 池野航太、谷村晴生、北村章人、逢坂惇志、辻井利昭:測位航法学会 GPS/GNSSシンポジウム2023、2023年10月25-27日、 東京海洋大学 越中島会館 (高精度測位チャレンジ3位入賞)
  • 川原大毅、辻井利昭:測位航法学会 GPS/GNSSシンポジウム2023、2023年10月25-27日、 東京海洋大学 越中島会館 (SDRコンテスト2位受賞)
  • 米山まうむ、辻井利昭:アレーアンテナによるGNSSマルチパスの方向推定及び誤差低減に関する研究、測位航法学会 全国大会、2023年5月17-19日、東京海洋大学越中島会館セミナー室 (学生最優秀研究発表賞受賞)
  • 塩谷秀登、辻井利昭:IMU及びNMEAメッセージを用いたスプーフィング検知に関する研究、第60回飛行機シンポジウム、2022年10月11-13日、新潟 (2022)  学生優秀講演賞受賞
  • J. Shibata, T. Tsujii, K. Goto, S. Ohsawa,DOA Estimation of GNSS Signals for Spoofing Detection Based on the MUSIC Algorithm, Aerospace Technology Japan Vol.70,  No.5, October 2022, 137-145.
  • 米山まうむ、辻井利昭:アレーアンテナによるGNSSマルチパスの方向推定及び誤差低減に関する研究 、測位航法学会 全国大会、2022年6月8-10日、オンライン (学生最優秀研究発表賞受賞)
  • M. Awai, T. Tsujii, T. Fujiwara, S. Ohsawa,GNSS Adaptive Beamforming Including Null-steeringfor UnwantedSignal, Aerospace Technology Japan Vol.69,  No.3, 2021, 122-127.
  • S. Tanaka, T. Tsujii,Development of a Model to Detect GNSS Reflected Signals Using Machine Learning and Application to Positioning , Aerospace Technology Japan Vol.69,  No.6, 2021, 229-235.
  • 川端夢子、 辻井利昭:反射波におけるドップラ周波数の検証および機械学習を利用したGNSS信号反射波検知モデルへの適用、第59回飛行機シンポジウム、2021年11月30日-12月2日、オンライン(2021) (学生優秀講演賞受賞)
  • 秋月勇樹:都市部におけるTightly-coupled方式を用いた GNSS/INS複合航法の測位精度の評価、GPS/GNSSシンポジウム2021 ビギナーズセッション、2021年10月27-29日、オンライン (研究奨励賞受賞)
  • 塩谷秀登、辻井利昭:スマートフォンを用いた室内測位の精度向上に関する研究、GPS/GNSSシンポジウム2021 ビギナーズセッション、2021年10月27-29日、オンライン (研究奨励賞受賞)
  • 芝田淳之介:耐スプーフィングに向けたアレーアンテナによる信号到来方向推定に関する研究、測位航法学会 全国大会、2021年6月23-25日、オンライン (学生最優秀研究発表賞受賞)
  • T. Mori and T. Tsujii, Effect of Enroute Time Management on Flight Trajectories in the Terminal Area, Transactions of the Japan Society for Aeronautical and Space Scinences, Aerospace Technology Japan Vol.19,  No.6, November 2021, 813-820.
  • T. Tsujii, K. Yonebayashi, T. Fujiwara and S. Ohsawa, GNSS Array Antenna for Mitigating Multipath Errors in Urban Environment, International Symposium on GNSS 2018, Bali, Indonesia, Nobember 21-23, 2018.
  • 米林健太、藤原健、大澤壮志、辻井利昭:CRPA技術による衛星航法のマルチパス誤差低減、第56回飛行機シンポジウム、2018年11月14日-16日、山形(2018)
  • 米林健太、藤原健、大澤壮志、辻井利昭:CRPAにおける搬送波位相を移用したハードウェアバイアスの較正、GPS/GNSSシンポジウム2018、10月30日-11月1日、東京(2018) (学生最優秀研究発表賞受賞)
  • 米林健太、藤原健、辻井利昭:GNSSアレーアンテナのハードウェアバイアス較正に関する研究、測位航法学会 全国大会、2018年5月16-18日、東京(2018)
  • H. Ninomiya, T. Tsujii, T. Fujiwara and Y. Shimizu: Precise point positioning for aircraft using QZSS augmentation signal, International Symposium on GNSS 2017, 10-13 December, 2017, Hong Kong, China
  • 二宮光莉, 辻井利昭, 藤原健, 清水悠介: 準天頂衛星の補強信号を利用した航空機の精密単独測位に関する研究, 第55回飛行機シンポジウム, 2017/11/20-22, 島根県民会館
  • 米林健太: GNSSマルチパス誤差軽減のためのアレーアンテナに関する実験的研究, 第55回飛行機シンポジウム, 2017/11/20-22, 島根県民会館
  • 二宮光莉, 辻井利昭, 藤原健, 清水悠介: QZSS補強信号を利用した精密単独測位法による航空機の位置推定, 第22回GPS/GNSSシンポジウム2017, 2017/11/7-9, 東京海洋大学越中島会館
  • 米林健太, 辻井利昭, 藤原健, 清水悠介:ソフトウェア受信機によるGNSSアレーアンテナの指向性操作に関する研究, 第22回GPS/GNSSシンポジウム2017, 2017/11/7-9, 東京海洋大学越中島会館 (最優秀学生発表賞(ポスター部門))