研究

マテリアルズ・インフォマティクス

人工知能に関するニュースを到るところで目にしますが、材料分野では人工知能を活用したマテリアルズ・インフォマティクス(材料情報科学)が注目されています。上杉研究室では材料情報科学の研究を行い、実験材料科学での課題の解決および、計算材料科学の発展を情報科学により推進させています。材料情報科学は新しい領域ですが、端的に言えば、情報学と材料分野との融合領域です。研究の方向性としては3つあります。  

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製造プロセス最適化

1つめは、機械学習による製造プロセスの最適化です。例えば溶接後の特性は、電圧、電流、送り速度などの違いで大きく変化します。現在はセンサーで状態を把握しているものの、プロセスの手順については経験に頼っています。プロセス条件のパラメータと、溶接継手の特性データを蓄積して関係性を見出せれば、望む特性のものを製造する方法論を構築できるはずです。このような取り組みは、材料情報科学に収まらない、材料を基盤とした生産システムの最適化を志向した研究であり、必要なデータの蓄積には大学・公設試だけでなく、企業と協力して研究を進めています。

合金設計

2つめは計算材料科学からの発展であり、合金設計の効率化です。合金組成以外にも、第一原理計算で算出された原子間距離、電子密度、弾性率、形成熱などのパラメータや物性データをとにかく集めて機械学習させることで、材料特性を予測できるパラメータの組み合わせを見出すのです。材料工学の知見から考える従来の手法とは異なる道筋であるため、全く新しい新材料を生み出せる可能性があります。

計測自動化

3つめは、計測に対する自動化です。材料組織の顕微鏡写真の解析には、従来は人の手による結晶粒界のセグメンテーションが行われていますが、多量の組織画像について機械学習を行い、自動で結晶粒径を評価するシステムを開発しています。材料組織の三次元再構築が実用化された現在では、このような手法が確立されれば従来とは比較にならない大量の計量データを得ることができるようになります。

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