最新の研究成果

AIと協働し匠の技術を継承!金属の破壊原因を分析するための新たな学習手法を開発

2023年6月12日

  • プレスリリース
  • 情報学研究科

ポイント

◇熟練技術者による破壊原因の分析方法に着目し、断面画像だけでなく金属種も同時にAIに学習させる新たな手法を提案。
◇従来のAI学習手法を用いた分析に比べ、正答率を約6%高めることに成功。
◇後継者不足問題や解析業務に係る負担などの課題解決に期待。

概要

鉄道の線路やジェットコースターのレールなどの金属材料が何らかの原因で破壊された時、その原因は金属断面の形状から分析します。断面の微細な違いから、熟練技術者が原因を分析するには多くの経験値が必要ですが、後継者不足や熟練者の知識の言語化が難しいなどの課題があるため、熟練者の技術継承や初心者の分析サポートのツールとして、AI学習を用いた分析手法の開発が行われています。

大阪公立大学大学院 情報学研究科の上杉 徳照准教授と大阪産業技術研究所の濱田 真行主任研究員らの共同研究グループは、熟練者が分析を行う際に、破壊断面の形状の他に材料などの事前情報を得て判別していることに着目し、破壊断面の画像データと共に金属材料の種類を学習させる新たな手法を提案しました。その結果、材料の種類を考慮せず、断面の形状だけで破壊原因を分析する従来の学習手法では92.4%であった正答率を、98.7%まで、約6%高めることに成功しました。

本研究成果は、日本材料学会「材料」の5月号に掲載されました。

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金属材料の種類によって壊れ方が違うという材料工学の視点を掛け合わせることで、新しいAI学習手法の開発に成功しました。今後さらなる実用化に向けて、破面を解析する際に用いる電子顕微鏡等への実装を目指します。これからも、異分野の協働による社会への貢献を続けてまいります。

顔写真

上杉 徳照准教授

資金情報

本研究の一部は、2021年度JKA機械振興補助事業および財団法人軽金属奨学会研究補助金の助成を受けて行われました。

掲載誌情報

【発表雑誌】材料
【論文名】材料の種類を考慮した転移学習による破面分類
【著者】上杉 徳照(大阪公立大学)、近藤 光晟、濱田 真行、喜多 俊輔、平田 智丈(大阪産業技術研究所)
【掲載URL】https://doi.org/10.2472/jsms.72.376

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院 情報学研究科
准教授 上杉 徳照(うえすぎ とくてる)
TEL:072-254-948
E-mail:uesugi[at]omu.ac.jp

大阪産業技術研究所 金属材料研究部
主任研究員 濱田 真行(はまだ なおゆき)
TEL:0725-51-2525
E-mail:hamadan[at]orist.jp
※[at]を@に変更してください。

報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:竹内
TEL:06-6605-3411
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp

大阪産業技術研究所 法人経営本部 企画部
担当:渡辺
TEL:0725-51-2512
E-mail:yoshito[at]orist.jp
※[at]を@に変更してください。

該当するSDGs

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