研修医・専攻医研修について

 集中治療医とは「種々の臓器不全や多臓器不全を発生している重症患者の全身管理とケア、また命をつなぎとめるための高度な知識と技術を持ち合わせている専門医師」と集中治療医学会で定義されています。

従来、学生、および研修医に対しては各臓器別診療科が臓器特異的疾患を中心に教育を行ってきました。近年、「特定の臓器・疾患に限定せず全人的・多角的に診療を行う」総合診療科が注目されています。集中治療科はまさに「急性・重症疾患の総合診療医」であるといえます。疾患を臓器別に細分化するのではなく、分析的かつ統合的に把握できる医師の育成を目指します。

われわれ集中治療科は医師だけが治療に携わるのではなく、看護師、薬剤師、栄養士、臨床工学技士、理学療法士などのコメディカルとともに患者の生命予後のみならず、身体機能、認知機能、メンタルヘルス、また家族のメンタルケアまでを含めたニーズを満たすという同じ目標に向かって進むチームとして成熟していく必要があります。そのために研修医・専攻医には医師だけの仕事ではなくコメディカルの仕事にも触れ、チーム医療の大切さを学んでいただきます。

われわれ集中治療チームが担うルーチン10項目として、

 

  1. 人工呼吸管理
  2. 鎮痛・鎮静コントロール
  3. 輸液・循環作動薬・機械的補助循環
  4. 腎代替療法
  5. 人工呼吸関連・院内関連肺炎予防
  6. 発熱感染評価・対策
  7. 早期栄養開始
  8. 早期リハビリ開始
  9. ストレス潰瘍予防
  10. 深部静脈血栓予防

 

についてベッドサイドでの実践を中心に講義・抄読会・カンファレンスなども交え一緒に学んでいきたいと思います。また手技として、気管挿管、気管切開、中心静脈カテーテル留置、動脈ライン留置、電気的除細動、心エコー、肺エコーなど将来どの診療科にいかれても役立つ集中治療管理をわれわれと一緒に学び、実践していきましょう。