当科で行っている研究

血液疾患・造血細胞移植患者に対する診断・予後予測指標の研究

検査指標(検体検査値や生理検査指標)を用いて、血液疾患患者や造血細胞移植患者の診断補助や予後に関する研究を行っています。例として、同種造血細胞移植はGVHD(移植片対宿主病)やSOS(肝類洞閉塞症候群)などの様々な合併症を引き起こしますが、その診断は身体症状と検査値をあわせた総合判断によってなされるものが多く、時に診断や鑑別が困難です。検査値による診断や予測マーカーの開発が望まれている領域です。

血液形態学に関する研究

血液形態学に関する研究については、症例も豊富なので、アカデミックな血液形態学者を目指すには最適な環境が整っています。

体外診断用医薬品(検査試薬)の性能評価

検査試薬メーカーなどと共同研究契約・受託研究契約を締結の上で、当院臨床検査技師と協力しながら新規の検査試薬の性能評価を行います。

機械学習を用いた臨床検査の精度管理

当科が臨床検査・医療情報医学として統合している強みが存分に発揮されるのが、AIや機械学習メソッドを用いての臨床検査の精度管理の試みです。
臨床業務での計測値を用いた検査全工程を反映する精度管理方法であり、リアルタイムかつコスト削減可能な精度管理方法を開発しています。

スマートウォッチとモバイルアプリケーションを用いた造血幹細胞移植合併症早期探知システムの研究開発(AMED研究、代表施設)

同種造血幹細胞移植は、退院後も重篤な合併症リスクが伴うため、患者さんは頻回の通院を必要とし、そのことが社会復帰への障壁にもなっています。本研究では、移植後外来通院患者さん専用のモバイルアプリを開発し、7つの大学病院の移植後患者さんにアプリから自覚症状を入力して頂くと共に、スマートウォッチから心拍数や表面体温などのデータを自動収集し、重篤な移植合併症の発症リスクが高い状態にある患者さんを早期に探知することで早期治療介入に結び付け、移植合併症の重症化を予防するシステム(=移植後患者さんの見守りアプリ)の開発を目指しています。

全ゲノム解析等実行計画 : HL7 FHIRを用いた多施設診療情情報の連携基盤開発

難病患者さんや担癌患者さんの全ゲノムを用いた研究は、世界的に注目を集めていますが、これらの研究を臨床的に有意義なものにするためには、全ゲノムデータとその表現型である臨床経過・転帰等の情報を紐づけて解析を行う必要があります。一方で、このような研究用の臨床情報収集は、これまで手作業で行うことが多く、大きな人的コストが必要となっている現状があります。本研究では、現在国家プロジェクトとして進められている「全ゲノム実行等実行計画」において、国際的な医療情報標準規格であるHL7 FHIRを用い、多施設の臨床情報を効率的に収集するためのシステム基盤の研究開発を行っており、本講座は本研究プロジェクトの解析・データセンター班のコアメンバーとして参画しています。

マルチモーダル動的予測モデルの研究開発

従来の機械学習・AIモデルは、単一モダリティかつ一時点の情報に基づいて診断や予後予測を行うものがほとんどです。一方で、臨床医は、問診、身体所見、臨床検査、画像検査、生理検査といった複数モダリティから成る時系列情報を常にUpdateしながら、診断や予後予測を行い、その時点時点の最新データに基づいた患者さん個別の最適治療法を提案しています。本研究では情報学と連携し、臨床医が診療で行う情報処理と同じように、マルチモダーダルな時系列検査結果を常にUpdateしながら、最新情報を踏まえ動的に予後予測を行うAIモデルの開発を行っています。