クリパー通信 06

クリパー通信 06

寝たきり高齢女性の発熱時は、膿性帯下の有無を確認しよう。

解説

ADLが低下した高齢女性における不明熱の鑑別として、子宮瘤膿腫がある。

子宮留膿腫は子宮口の閉鎖により子宮腔内に 膿や壊死組織が貯留する疾患である。
子宮口閉鎖の原因としては,加齢に伴う子宮内膜萎縮や老人性頸管萎縮による狭窄,長期臥床による機能的排出障害などがある1)。
子宮留膿腫の症状は,膿性帯下,閉経後出血,下腹部痛が古典的三徴とされている2)が,発熱のみを呈する症例もある3)。
子宮留膿腫の治療は経膣ドレナージと抗菌薬の投与とされるが,子宮穿孔を来した場合は開腹手術による腹腔内洗浄ドレナージに加えて 子宮全摘術,子宮膣上部切断術などが選択される3),4)。

寝たきりの高齢女性が不明熱で受診してきた際は、子宮瘤膿腫を鑑別に挙げる必要がある。

参考文献

  • 赤澤憲治,高森久純,安田 博:老年婦人の子宮  留膿症:外来統計にみるその特徴.日産婦会誌, 43:1539-1545, 1991.
  • Bui A,Wilkinson S:Generalized peritonitis due to spontaneous rupture of pyometra. Aust NZ/Obstet Gynaecol,29:82-83,1989.
  • 萩谷英大,小古山学,赤堀洋一郎,他:子宮留膿腫の穿孔による汎発性腹膜炎の1例.口救急医会誌, 24:431-436, 2013.
  • 具芳明,大曲貴夫:発熱をきたした子宮留膿腫2例の検討.感染症学雑誌,81:302-304,2007.