おしらせ

2026年3月23日

2025年度「部落問題についての大学生意識調査」報告(科研費23K01753)

 本報告は、若者の部落問題に対する意識を把握することを目的として、大学生を対象に実施したアンケート調査の報告である。アンケートは、科学研究費補助金による研究「部落差別言説の変容に関する研究―『新しいレイシズム』研究の知見を手がかりとして」(23K01753202325・基盤研究C)の一環として、研究代表者・研究分担者が在籍する3大学(大阪公立大学・大阪大学・大阪芸術大学)において、202545月に実施した。

 なお、同様の調査を2021年にも関東2大学・関西4大学の学部生を対象として実施しており、その結果は当センターのウェブサイトで公開している(18K02034「現代社会における部落差別の変容に関する研究―差別意識とその表出形態に焦点をあてて」 https://www.omu.ac.jp/orp/rchr/info/news/entry-35354.html)。

 前回調査の対象者は、同和対策事業の終了(20023月)後から、部落差別解消推進法が施行される201612月までの、部落問題に関する教育・啓発が量的に縮小した時期に初等・中等教育を受けた世代であった。一方、今回の調査対象者は、実施時点で18・19歳が全体の73.2%を占め、部落差別解消推進法の施行時には小学生、同法が中学校公民の教科書に取り上げられるようになった2019年には、中学生であった。こうした教育環境の変化が、学生の知識や意識にどのような影響を及ぼしているのかについても意識しながら、分析する。

 なお、今回の調査結果で特徴的であったのは、「古典的」あるいは「現代的」レイシズムよりも、「形式的平等主義」言説が強い支持を集めた点である。すなわち、「自分は誰に対しても一人の人間として接する」「だから部落出身者も自らの出身を気にする必要はない」「部落出身者はそのことをあまり表に出さず、個人として社会に参入すべきだ」といった主張である。

 これらの言説は、普遍主義的・形式的平等観に基づき、「属性に基づく区別をしないこと」が平等だという立場に立っている。だが、差別が構造的に生み出されていることへの理解が十分ではなく、単に「属性に基づく区別をしないこと」を平等だととらえていては、社会的マイノリティの存在、置かれている状況を不可視化し、結果として差別の否認や軽視へとつながりかねない。差別の構造的理解をいかに育むかという新たな教育的課題が示されている。

Table of Contents:

部落問題についての大学生意識調査 (2025年度)報告[全問の結果]
 (阿久澤麻理子 大阪公立大学 経営学研究科、人権問題研究センター兼任研究員)

初等・中等教育段階の学習経験と現在の部落問題認識
 (高田一宏 大阪大学 人間科学研究科)

調査票

研究代表者

阿久澤麻理子(大阪公立大学 経営学研究院都市経営研究科)

研究分担者

高田一宏(大阪大学 人間科学研究科)

石川結加(大阪芸術大学 教養課程)