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2025年8月26日
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- 講演会・セミナー
2025年度第2回人工光合成研究センター講演会を開催しました。
会場とした学術情報総合センター(図書館)の休館により、正面玄関が施錠されている状況でしたが、オンライン参加を含め、約20名の方にご参加いただきました。
講演では、通常の分光法では統計的平均としてしか捉えられない、個々の粒子のふるまいを観測できる「単一粒子分光法」が紹介されました。この手法は、分子集合体内の構造変化を敏感に反映するため、構造モデルに基づく計算との比較により、集合体内の特徴的な構造を推定することが可能です。
今回は、この手法を多数の色素分子が集合して構成される「光合成集光装置」に応用した最新の研究が紹介されました。個々の光応答と色素分子の集積構造の対応関係が詳細に解説され、その特徴的な集積構造が色素のわずかな化学構造の違いによって生じている可能性が示唆されました。
講演後には活発な質疑応答が交わされ、参加者の高い関心がうかがえました。
ご参加いただいた皆様に、心より御礼申し上げます。
- 講演タイトル
「Natural and Biomimetic Light-Harvesting Nanotubes in the Light of Single-Molecule Spectroscopy. (単一粒子分光法で解明する天然および生体模倣光集光ナノチューブの構造と機能)」 - 講演者:Jürgen Köhler教授 (ドイツ バイロイト大学)
- 日 時:2024年8月26日(火)16:00-17:00
- 場 所:大阪公立大学 杉本キャンパス 学術情報センター 1F文化交流室
(メンテナンス期間のため正面玄関は閉まっていますが、工学部側の通用口からご入館ください。) - 参加方法:事前申込不要、参加費無料。現地に直接お越しください。
- 後 援:触媒科学計測共同研究拠点
触媒学会二酸化炭素変換触媒研究会
触媒学会生体関連触媒研究会
CNコアリション推進室・イノベーションワーキンググループ
光合成光捕集系における単粒子分光計測の第一人者であるJurgen Kohler教授の講演会を企画しました。今回は特別に化学者に向けてわかりやすくお話し頂けるとのことですので、皆様ぜひご参集ください。
世話人:藤井 律子(人工光合成研究センター/理学部化学科(兼担))
連絡先:ritsuko[at]omu.ac.jp([at]を@に変えてください)/内線3624
講演概要
光合成アンテナはどのようにして太陽光を効率的に利用するのでしょうか?クロロソームは緑色硫黄細菌の光捕集系であり、多数のバクテリオクロロフィル分子(BChl)から構成されています。ここで個々のクロロソームにおけるBChl数や会合構造の不均一性が、効率的な集光機能をもたらすと考えられています。単粒子分光法は、アンサンブル平均スペクトルでは観察できない個々の分子の特異的かつ特徴的なスペクトル特性を検出できるため、この課題へのアプローチに特に適しています。
本講演では、天然クロロソームと生体模倣光捕集ナノチューブを例に、上記のトピックについて議論します。
(参考文献: Jansen et al., Chem. Phys. Rev. 5 (2024), 041305)