研究業績
研究業績(原著論文・総説)
太緑字は,当研究室で研究を行った学生(現役生・卒業生)を示します.
2026
- Shimizu, Y., Kataoka, K. DIPA-CRISPR mediated knockout of Vermilion generates a visible eye color marker for the band-legged ground cricket Dianemobius nigrofasciatus. Archives of Insect Biochemistry and Physiology 121, e70135. doi: 10.1002/arch.70135
- 光周期に制御された母性休眠誘導を示すマダラスズにおいて,新しいゲノム編集法(DIPA-CRISPR法)が有効であることを示しました.今後の研究に重要なツールが揃いました.特任助教 清水悠太さんの成果です.
- Mukai, A., Goto, S.G. Volatile anesthesia suggests functional separation of clocks underlying circadian rhythms and photoperiodic responses in a wasp. Chronobiology International, Published online. doi: 10.1080/07420528.2026.2624013
- キョウソヤドリコバチを対象に,概日時計と光周性の関係を調べた研究です.昆虫では,「歩行活動を制御する時計」と「光周性にかかわる時計」が同一か否かについて,長年議論が続いてきました.本研究では,イソフルランによる麻酔処理が歩行活動リズムと光周反応に及ぼす影響を比較することで,これらふたつの時計機構が機能的に分化している可能性を示しました.特任助教の向井歩さんが,博士後期課程から温めてきた成果です.インフォグラフィクス拡大版はこちら.
- Harada, S., Goto, S.G. Circadian clock properties and extraocular photoentrainment in the three-band garden slug, Ambigolimax valentianus (Gastropoda: Stylommatophora: Limacidae). Applied Entomology & Zoology, Published online. doi: 10.1007/s13355-026-00962-y
- チャコウラナメクジの歩行活動リズムの特性について調べました.本種の歩行活動リズムは概日時計によって制御され,温度ではなく光を主な同調因子として利用すること,また光同調の際に眼外光受容器を用いることが可能であることを明らかにしました.博士後期課程の原田祥吾さんの成果です.
2025
- 後藤慎介 昆虫の休眠:季節的な代謝の抑制.低温生物工学会誌 81, 71-79.
- 昆虫が季節の変化を生き抜くために発育を止めるしくみを「休眠」といいます.休眠中の昆虫は,ホルモンの働きを変えて体の成長を止め,代謝を大きく下げることで,食べずに何ヶ月も過ごすことができます.また,脂肪や糖などの使い方を切り替えたり,酸素をあまり使わない特別な代謝に移行したりします.こうした休眠の研究は,害虫防除や有用昆虫の保存にも役立つと期待されています.これらの観点について解説しました.
- Goto, S.G., Matsumoto, K., Mukai, A. Photoperiodism, Insects. In Encyclopedia of Reproduction (Third Edition) (Ed. Skinner, M.K.) pp. 534-543. Academic Press. doi: 10.1016/B978-0-443-21477-6.00295-9
- 生殖生物学と生殖医療に関する包括的で信頼性の高いレファレンス事典の中の項目です.「人工光の影響」も組み込み,興味深い内容となっています.
- Sakura, K., Miyano, R., Ohde, T., Shimizu, Y., Nakata, M., Numata, H., Goto, S.G. Genome editing reveals no potential role of the circadian clock gene period in the circatidal rhythm of the mangrove cricket. Biological Rhythm Research 56, 724-734. doi: 10.1080/09291016.2025.2507079
- 潮間帯に生息するコオロギであるマングローブスズは,潮の満ち引きに対応した約12.4時間周期の時計~概潮汐時計~を持っています.この概潮汐時計の分子機構はこれまで不明でした.今回私たちはゲノム編集技術を用いて,概日時計遺伝子periodが概潮汐時計に関わらないことを示しました.昆虫の概潮汐時計は,概日時計とは全く異なるしくみでできているようです.宮野里菜さんが博士前期課程在籍中に,また,清水悠太さんが後期博士課程在籍中に行った成果です.
- Mizutani, R., Fuchikawa, T. Investigation of the effect of temperature and colonial air on the ontogeny of circadian rhythms in young worker honey bees Apis mellifera. Physiological Entomology 50, 305-314. doi: 10.1111/phen.12491
- セイヨウミツバチの羽化後の概日行動リズムの発達に関する論文です.ワーカーが羽化直後に滞在する巣の中心部の温度である34℃にさらされるだけで概日行動リズムの発達が促進されます.また,この促進は羽化後の48時間という時間帯で起こるようです.ミツバチの巣内にある匂いやCO2などを含む空気環境には,このような概日行動リズム発達の促進作用は見られませんでした.
- Mukai, A., Goto, S.G. Distinct timing systems operate the locomotor activity rhythm and the photoperiodic response in the parasitic jewel wasp, Nasonia vitripennis. Biological Rhythm Research 56, 588-598. doi: 10.1080/09291016.2025.2490278
- キョウソヤドリコバチの概日時計と光周性に関する論文です.「歩行活動を制御する概日時計」と「光周性を制御する概日時計」は同一なのか,異なるものなのかについて,長年議論があったものの決着はついていませんでした.本研究は,特殊な光周期下で,歩行活動と光周性を同時に観察することにより,これらの時計が別であることを明瞭に示しました.特任助教の向井歩さんの成果です.
- Tsuzuki, Y., Ohsaki, H., Kawaguchi, Y.W., Suzuki, S., Harada, S., Otake, Y., Shinohara, N., Katsuhara, K.R. Nationwide diversity of symbolic “city flowers” in Japan is increasing. Ecological Research 40, 463-474. doi: 10.1111/1440-1703.12540
- 「市の花」の多様性についての研究です.博士後期課程在籍中の原田祥吾さんの成果です.
- Yoshinaga, N., Goto, S.G. Expression of short neuropeptide F and prothoracicotropic hormone in relation to photoperiodic regulation of pupariation and pupal diapause in the flesh fly, Sarcophaga similis (Diptera: Sarcophagidae). Applied Entomology and Zoology 60, 127-134. doi: 10.1007/s13355-025-00900-4
- ナミニクバエの光周性機構を明らかにした論文です.神経ペプチドsNPF, 前胸腺刺激ホルモンPTTHの発現と休眠との相関を明らかにしました.吉永奈央さんが前期博士課程在籍中に行った研究です.
- Yoshida, M., Convey, P., Hayward, S.A., Lee, R.E., Denlinger, D.L., Teets, N.M., Goto, S.G. Obligate diapause and its termination shape the life-cycle seasonality of an Antarctic insect.Scientific Reports 15, 3890. doi: 10.1038/s41598-025-86617-4
- 南極に生息するナンキョクユスリカが,休眠によって南極の冬に適応していることを明らかにしました.吉田美月さんが後期博士課程在籍中に行った成果で,海外8機関との共同研究です.広報はこちら.
- Ohe, Y., Hasebe, M., Hamanaka, Y., Goto, S.G., Shiga, S. Photoperiodic plasticity of pigment-dispersing factor immunoreactive fibers projecting to prothoracicotropic hormone neurons in flesh fly Sarcophaga similis larvae. Journal of Comparative Physiology A 211, 261-276. doi: 10.1007/s00359-024-01729-y
- ナミニクバエを対象として,光周性の分子神経機構を明らかにしました.光周性が制御される蛹休眠には,概日時計,前胸腺刺激ホルモン(PTTH),エクジステロイドが関与します.この過程に,神経伝達物質であるグルタミン酸あるいは神経ペプチドであるsNPFが関わるようです.大阪大学との共同研究の成果です.
これまでの業績
2020-2024年の原著論文・総説はこちら2020-2024 (814.1KB)
2015-2019年の原著論文・総説はこちら2015-2019 (411.3KB)
2010-2014年の原著論文・総説はこちら2010-2014 (166.9KB)
2005-2009年の原著論文・総説はこちら2005-2009 (426.5KB)
1995-2004年の原著論文・総説はこちら1995-2004 (224.8KB)
2004年以降,執筆に携わった本はこちら本 (406.9KB)
