亜硝酸ガスの人体影響調査

亜硝酸ガスの人体影響調査(府公衛研と共同研究)

HONOは、喘息の原因物質ではないかと考えられるようになってきました。

その理由は、
1) NO2の動物実験が行われた当時、HONOの存在はほとんど知られておらず、亜硝酸ナトリウムに硫酸を加えて発生した気体をNO2ガスとして使っていました。これは、酸の種類は違いますが、今、私たちがHONOの標準ガス発生に使っている反応です。さらにNO2標準ガスのボンベガスが市販されるようになってから、動物実験を行っても、同じような結果は得られなかったという話を聞きました(私信)。
2) NO2は水への溶解度が低く、アルカリにバブリングをしても数%しか吸収されません。溶けると亜硝酸と硝酸を生成します。酸が肺に悪影響を与えることは知られていますが、HONOは溶解度も高く、しかも酸です。
3) 共同研究している大阪府立公衆衛生研究所の大山正幸博士の研究で、モルモットへのHONO暴露実験では、高濃度でも肺には影響がないことがわかりました。致死影響はNO2の方があります。しかし、マウスへHONOを暴露すると、100 ppbでも、喘息に似た変化を与えることが分かってきました。この濃度ではNO2は影響は出ません。
4) 共同研究で大山正幸博士が疫学調査をしていますが、その結果によると、HONO濃度が上昇した時に喘息発作が起き、NO2の濃度変化にはあまり影響されないことが分かってきました。これは、もう少し、調査を進める必要がありますが、これまでの調査では、このような傾向があると言えます。論文でも影響があるという疫学調査報告があります。
HONOに強い喘息影響があることを示す科学的根拠を早く得て規制にかからないと、空気清浄機という名のHONO発生装置が、アレルギー対策として何の疑いもなく保育所などに設置されていますので、そのうち大きな問題となるかもしれません。HONOの除去は比較的簡単なので、早く対策をしないといけないと思っています。