医工連携 バイオデザイン

COOPERATION
BIODESIGN
PROGRAM
医工連携

バイオデザインプログラム

バイオデザインとは
バイオデザインとは、2001年にスタンフォード大学で生まれた人材育成プログラムにルーツを持つ医療への考え方です。特徴は「デザイン思考」であるということ。まずは医療現場のニーズを見つけ出すところからスタート。問題の解決策を生み出し、新たな価値を生み出す「人間中心の開発スタイル」で、イノベーションの実現をめざします。
OUTLINE

プロジェクトの概要

工学研究科の学生医学部附属病院へ。
医療のリアルを体感し、
イノベーションをめざす。

大阪公立大学のバイオデザインプログラムは、ルーツとなるスタンフォード大学のバイオデザインの考え方に基づきながらも、大阪市立大学と大阪府立大学の統合の強みを活かした内容となっています。幅広い専門領域をカバーする工学部と、都市型先進医療の拠点・附属病院を併設する医学部が連携。医療機器やそれに関連するテクノロジーのみに注目するのではなく、医療現場に足を運び、病院という空間そのものを体感します。建物の構造、光・音・匂い、人や物の流れなど、リアルな状況を目の当たりにすることで、現場の人々に本当に必要とされているものを掘り起こし、技術のための技術ではなく、医療現場に新たな価値を創造できる人材の育成をめざしています。 ※バイオデザインは大学院共通教育科目です。工学研究科(工学部の大学院)を含む、ほとんどの研究科の大学院生が履修可能です。

FLOW

プロジェクトの流れ

  1. 「デザイン思考」を知る

    「共感→定義→概念化→試作→テスト」というプロセスを経てイノベーションが生まれることを、特別講義、本学医学部・工学部の教員陣によるウェビナー等で理解します。

  2. 「ニーズ探索・コンセプト創造」を知る

    現場に数多くあるものの明確にされていないニーズをいかに見つけ出すか、また見つけたニーズをどのようなコンセプトで解決するかについて、専門家による特別講義で学びます。

  3. 「医療現場」を体験する

    工学部の学生が大阪公立大学医学部附属病院で3日間の研修を体験。医療スタッフとともに手術室に入っての手術見学、検査やリハビリテーションの見学等を体験します。

  4. 「法規制・ビジネスモデル」を知る

    優れたイノベーションでも、法規制に觝触すれば製品化できません。法規制やビジネスモデル、知財のビジネス化、プロトタイプについて本学教員とゲスト講師による特別講義で学びます。

  5. 「コンセプト」を発表する

    これまでの学びの総仕上げとして、プログラムを通じて身につけた知識と体験を活かし、現場を観察して作成した多数のニーズステートメントを元に絞り込みを行います。そして、事業化プロトタイプのベースとなるコンセプトを構築。プレゼンテーション形式で発表します。

MESSAGE

教授インタビュー

医学部
医学研究科柴田 利彦教授

心臓外科医として最先端医療を40年余り見てきました。その間にも医療は飛躍的に進歩しています。この進歩を支えているのは、テクノロジーです。医学的研究はもちろん、検査・手術・看護・医薬といった臨床の場面でも、技術革新が医療の可能性を広げてきたのです。私自身も、企業と共同して低侵襲手術を補助する手術器具を開発し、4ヵ国で特許を取得し製品化しています。その発端は、手術症例を重ねる中で体感した心臓外科医としてのニーズでした。このプログラムでは、いきなりものづくりに取りかかるのではなく、医学部と工学部がお互いの言葉やリズムを理解するところから始まります。大切なのはひとづくり。ユーザーからイノベーターへと着実に歩んでください。

医療の進歩は テクノロジーの 支えがあってこそ。
工学部
工学研究科立花 太郎教授

本プログラムは2019年にスタートしました。その後大学統合により12学科となった大阪公立大学工学部は日本最大級の規模を誇ります。専門知識の厚みと技術力が医療現場のニーズと重なった時、そこには新たなイノベーションが生まれるはずです。学生の皆さんに期待するのは、全く新しいニーズを拾い出し、それをビジネスにするセンスを培ってほしいということ。ニーズを起点に技術を駆使し、新しい医療機器やサービスを事業化するには、医療への関心も不可欠です。このプログラムの本来の目的は、ビジネスを生み出すことではなく、豊かな社会のためのビジネスを生み出せる人材を育てることです。学業に新たな視点を持ち込み、さらなる成長を望む方の参加をお待ちしています。

ニーズを起点に イノベーションを。 日本屈指の工学部だから できるはず。
VOICE

プロジェクトに参加した学生の声

  • 医療現場の高度なスマート化が強く印象に残っています。重工業系企業に内定していますが、そこで使われる様々な装置のスマート化に取り組みたいという目標を発見できました。

    奥野 文弥さん
    電気電子系専攻 博士前期課程 2年
  • 中国から留学中なので、日本の病院を見る貴重な機会だと思って参加しました。医療機器が多いため床じゅうに電源コードが張りめぐらされていて、安全・衛生面から課題だと感じました。

    林 航昊さん
    物質化学生命系専攻 博士前期課程 1年
  • 初めて心臓手術を見学。この手術室にも数々のニーズが潜んでいるはずと感じました。その発見と解決のためにも医療機器メーカーの開発職に興味が湧きました。就活で挑戦したいです。

    髙林 直紀さん
    物質化学生命系専攻 博士前期課程 1年
  • 病院は人の命や健康を預かる場なので、地震等の災害対策にはまだまだ数多くのニーズがあると思います。現場のニーズに統計的にアプローチできないか、考えてみたくなりました。

    櫻井 躍駿さん
    数学専攻(理学研究科) 博士前期課程 1年