建築学科
設計グループ
アソシエイトアーキテクト
都市系専攻 建築計画研究室 前期博士課程 修了
東京駅前の新しいシンボル、
複合施設の意匠設計を担って。
黒木さんは、2023年1月に東京・八重洲にグランドオープンした複合施設の意匠設計を担当されたと伺っています。建築のポイントをお聞かせください。
担当した建物は、延床約2万2千㎡・高さ70mです。オフィスの低層部にレストラン・ショップを備えた複合施設で、設計期間を含めると竣工まで6年かかりました。アルミルーバーを纏った外観は、船舶をモチーフにしてクライアントの事業フィールドを象徴しました。また、低層部の商業施設には、3フロアを貫く吹抜けを作り、その壁面に水耕栽培のインドアグリーンを設置して商業空間全体を彩っています。この低層部には、お米について楽しく学べるギャラリーやお米の素材を生かしたレストランなどが入居しており、クライアント企業の社会への取り組みを発信しています。
吹抜け下には、緑に彩られたパブリックスペースを設け、都心では数少ない憩いの場として親しまれています。東京駅前という好立地を生かし、クライアント企業の農業先進企業としてのブランディングを全面に押し出した空間ができたと自負しています。
こうした大型プロジェクトの魅力ややりがいをお聞かせください。
街に新しく並ぶ「顔」としてどんな表情が相応しいか、楽しさや心地よさを体験してもらえるのはどんな空間なのか等、建築家としての構想力•創造力を存分に発揮できる機会に恵まれました。
クライアントをはじめ、構造設計・設備設計・ランドスケープなど一緒に取り組む社内メンバー、現場施工者、建築確認など行政諸手続き先の担当者など、竣工まで多くの人と関わります。その中心でリーダーシップを取り、良い建築をめざしてゴールした時のやりがいは意匠設計者でしか味わえないものだと感じます。
本学で学ばれたどんなことが、今のお仕事に役立っていますか?
建築設計演習では、立地やプログラムなど具体的な設計条件に沿って建物の形を決定する合理性や機能性、街の歴史や景観に配慮する重要性など、設計の奥深さやおもしろさを学びました。少人数制で先生方との距離も近く、仲間たちと切磋琢磨しながら建築を設計する楽しさも満喫しました。この経験があるからこそ、実務で直面するさまざまな困難を乗り越えて来られたのだと思います。
今後の目標をお聞かせください。
弊社への就職を決めたのは、多くの人の目に留まる街のシンボル的建築物を手がけてきたからです。決して楽な仕事ではありませんが、未来を想像する時のワクワクするマインドで前進し、「なんかカッコいい」「なんか居心地がいい」と言われる名建築をめざして設計に取り組んでいます。
受験生へのメッセージをお願いいたします。
工学部建築学科は、少人数制で高校のクラスのような一体感があり、先生とのコミュニケーションも活発です。楽しく真剣に学び合える雰囲気が自然とできあがっているので、建築設計に少しでも興味のある方は、ぜひ挑戦していただきたいです。