マテリアル工学科
技術職
物質・化学系専攻 マテリアル工学分野 博士前期課程 修了
スマホやEVに欠かせないMLCC。
その技術開発で、世界をリードし続けたい。
小山さんは、MLCC(積層セラミックコンデンサ)の製造部門で、薄層セラミックシートの製造に携わっておられます。御社のMLCCは世界シェア40%とトップメーカーですね。
某海外スマホ大手企業のCEOが「ムラタが止まれば世界のスマホが止まる」と発言したほど、MLCCはスマホやEV(電気自動車)に不可欠な電子部品です。一台のスマホに800~1000個のコンデンサが使用されており、MLCCに使用されるセラミックシートは電子機器の軽薄短小を実現するために薄層化が進んでいます。私はこれらの薄層セラミックシートに発生する欠陥不具合の要因調査と品質改善、そして新商品シートの開発に取り組んでいます。
世界シェア40%というスケールで大量生産するため、生産工程でのトラブルや不具合の薄層セラミックシートは必ず発生します。それに対して迅速かつ正確に原因を調査して改善施策を立案し、既存製品の不具合から課題を突き止め加工条件の改善を行うなど、より良いシートやMLCCの生産に貢献することが大きなやりがいです。
大阪公立大学(当時は大阪府立大学)への進学を決めた理由をお教えください。
大阪府立工業高等専門学校(高専)に在学中から研究室に所属し、先生の指導の下で実験などを行っていました。そうした日々の中でもっと専門的な学問を学び、発展的な研究に取り組みたいという思いが強くなりました。高専には大阪府立大学への推薦枠があり、チャンスを手にできたので、進学を決めました。
大学在学中は、無機化学や材料工学など、材料に関する知識を包括的に学ぶことができました。研究室ではシングルナノメートルスケールの層状金属水酸化物へキラリティーを付与する研究に取り組み、国際学会での発表の機会も得ました。こうした経験を活かせる企業を探す中で、原料から製品まで一貫生産体制を強みとする弊社の存在を知り、ここで働いてみたいと思ったのです。
本学で学ばれたどんなことが、今のお仕事に役立っていますか?
当然ですが、実社会で取り組む仕事に簡単なものはありません。スムーズに進むことはほとんどなく、自分ひとりでは何もできないことを痛感しました。そんな時に頼りになるのは、粘り強く実験・考察・試行錯誤を繰り返したり、仲間に協力を仰いで周囲を巻き込んで課題に取り組んだりする力です。これらは、間違いなく大学院での研究生活で身についたものだと実感しています。
今後の目標をお聞かせください。
現在、車載用のMLCCの開発に取り組んでいます。民生品とは圧倒的に異なる質の高さや技術要件が求められますが、この領域こそ弊社の強みです。弊社が電子部品業界を今後もリードし、豊かな社会を創造できるように、技術者として貢献していきたいです。
受験生へのメッセージをお願いいたします。
専門的な知識を入手しやすい時代になりましたが、だからこそ大学の魅力は、人との関わりだと思います。仲間や先生と困難な研究テーマに取り組むことで、物事の捉え方が変わり視野が広がりました。特に将来製造業に携わりたい方は、工学部で学んでほしいです。