電子物理工学科
技術職
電子情報系専攻 前期博士課程 修了
自分でゼロから設計した
新しい電源ICを、いつか世の中へ。
井上さんは、アナログ回路設計者として電源ICの製品開発に取り組んでおられます。スマホからロボットまで、電気で動く機器には欠かせないものですね。
設計者としての業務は大きく2つあります。ひとつは、回路設計。CADツールで半導体素子や抵抗等を配置して回路図を作成し、作成した回路が要求されたスペックを満たしているかをシミュレーションで検証します。もうひとつは、実物の評価。設計した回路を自社工場で試作し、設計通りの動作をしているかを測定・評価します。
適切な電圧を供給する電源ICは電気製品に欠かせないもので、今後も新しい電気製品に搭載されていきます。その製品開発という責任ある仕事を、まだ若手の私に任せてもらっていることに非常にやりがいを感じます。携わった製品がいつ世の中に出るかが明確なことも、開発達成のモチベーションにつながっています。
大阪公立大学(当時の大阪市立大学)へ進学を決めた理由をお聞かせください。
私が高校生だった約10年前はスマホが急激に普及した時期で、身近なモノの進化を目の当たりする体験でした。電気製品を動かす「電気」に興味を持っていたこともあり、身近なモノの進化に携わりたいと考えて、進学を決意しました。
本学で学ばれたどんなことが、今のお仕事に役立っていますか?
電気・電子工学全般を幅広く学び、また研究室では目に見えないテラヘルツ波と呼ばれる電磁波を使った実験に取り組みました。CADツールを用いたシミュレーションで仮説を立証できる可能性を見出しました。その後、困難を極める実験を、試行錯誤を繰り返して乗り越え、テラヘルツ波のセンサー開発が可能であることを示唆する実験結果を得られました。
こうした経験を通じて、現在の業務に必要な専門知識を幅広く身につけることができ、入社後に仕事を理解しやすかったです。また、回路作成で困難に直面しても粘り強く挑戦することができています。
学業以外に、力を入れて取り組んだことはありますか。
学費・生活費を稼ぐためにアルバイトをしていました。塾講師、アパレル・飲食店・カラオケ店・ネットカフェ等の店員など、様々なアルバイトに挑戦しました。バイトの現場ごとにお客様や従業員の年齢層・バックグラウンドが異なるので、コミュニケーション能力が身につきました。仕事での難しい課題に対して、臆することなく先輩方にアドバイスを仰げる積極性は、アルバイトで培えたと感じています。
今後の目標をお聞かせください。
私がゼロから設計した電源ICを世に送り出すことです。アナログ回路設計者になるには時間がかかると言われていますので、今はコツコツと設計経験を積んでいきたいと思っています。
受験生へのメッセージをお願いいたします。
大学生活で得た経験や知識は、社会人である現在の私が成長し続ける基盤を作ってくれました。ぜひ大学でたくさん学び、多くのことに挑戦してください。