量子放射線系専攻
日本原子力研究開発機構
技術員
量子放射線系専攻 博士前期課程 修了
研究・資格取得・柔道で
培ったねばり強さで
原子力防災の情報基盤構築に尽力したい。
普天間さんは、「航空機モニタリング」で放射線測定を行っていると伺っています。具体的にお仕事の内容をお聞かせください。
放射線検出器を搭載した有人ヘリコプターで測定エリア上空の放射線量を測定し、測定後に収集したデータを解析して電子地図上に放射線の分布を視覚化します。福島第一原子力発電所事故後から現在に至るまで継続的に行われ、独自のノウハウが蓄積されています。住民の方々の不安を取り除き、万一の事態に備える重要な業務です。
大学院時代に大学主催の「みんなのくらしと放射線展」のスタッフを経験し、来場者および住民の不安を解消したいと強く感じて、当法人へ就職しました。現在、高い専門性を発揮でき、その成果を住民の安全確保という形で社会に還元できることに、やりがいを感じています。
本学(当時の大阪府立大学)に進学を決めた理由をお聞かせください。
「食品の安全確保について学びたい」と考えて大学を調べるうちに、当時の大阪府立大学には食品照射という放射線技術を使った珍しい研究があることを知り、強く興味を惹かれて進学を決めました。
大学で経験されたどんなことが、今のお仕事に役立っていますか?
学部時代は細胞生物学・遺伝学・生化学などの生物学を中心に、線形代数・微分積分学・統計学といった数学分野も学びました。大学院進学後は、放射線に関する幅広い知識を身につけ、先生方からサポートを受けながら「第1種放射線取扱主任者」の資格取得をめざしました。粘り強く勉強を続け合格することができました。また、部活動では柔道部に所属し、厳しい練習やケガ、敗戦など挫折も経験しましたが、最後までやり抜き、主将も務めました。
これらの経験から、困難な状況でも粘り強くやり抜く精神力を培うことができました。現職では、難易度の高い仕事を上司から一番に任せてもらえるなど、信頼の獲得に繋がっています。
今後の目標をお聞かせください。
原子力災害時には、住民への防護措置の実施判断に係る意思決定が行われます。この意思決定を支援するための情報基盤の構築が必要だと考え、データサイエンスとAI技術について学んでいます。将来は、AI技術を適切に駆使し、原子力防災分野におけるAIの活用範囲を広げていきたいです。
受験生へのメッセージをお願いいたします。
私の経験から、以下の4つをおすすめします。(1)多様な経験を積み、自分磨きをしよう。(2)積極的に学内外の活動に参加して、人脈を広げよう。(3)尊敬できる先生を見つけ、身を側に置こう。(4)自己管理能力を養おう。特に(2)と(3)は重要で、研究の最前線で活躍する先生から直接指導を受けられるのは、大学生の特権です。膨大な知識と経験に耳を傾けて着実に学ぶことで、将来のキャリア形成に役立てることができます。悔いのない大学生活を送ってください。