マテリアル工学科

 

概要

物質を本質的に理解し、
新しいマテリアルを創出。

現代社会は、高強度合金・形状記憶合金・磁性材料・電池材料・バイオマテリアル・触媒といった様々なモノ、すなわち「マテリアル」によって支えられています。マテリアル工学とは、物理や化学を始めとする様々な分野の知識を融合して新しいマテリアルを創り出す学問です。
新しいマテリアルを創り出すには、マイクロメートルスケールでの材料組織や、ナノメートルスケールでの原子配列、さらには電子の運動など、マクロとミクロの両方の視点から物質の本質的な性質を理解し、制御する必要があります。マテリアル工学科は、あらゆる材料の研究開発で活躍できる「マテリアルのプロフェッショナル養成所」として、モノの性質を理解するための物理学、モノを設計するための化学、モノの機能を制御するための材料プロセス学などから構成される体系的なカリキュラムを提供します。さらに、マテリアル工学演習・マテリアル工学実験や卒業研究を通じて、問題解決力と柔軟な思考力を備えた人材を育成します。
マテリアル工学科では、最先端の合成・解析技術を駆使し、人体に害のない元素からなる人工歯や人工骨・軽くてしなやかで丈夫な合金・再生可能エネルギーを有効に利用するための触媒・新しいメカニズムで動作するエレクトロニクス材料など、様々なマテリアルを対象とした研究を行っており、持続可能社会の構築に欠かせない役割を担っています。

バイオマテリアル 研究開発の様子

 

研究グループの構成と教員

中百舌鳥キャンパス

研究グループ 職名 氏名 主たる研究内容等
1.生体材料 教授 中平 敦 バイオマテリアル、アパタイト、インターカレーション、触媒材料、ナノセラミックス
准教授 徳留 靖明 固体酸/塩基触媒材料、液相プロセス、界面・コロイド化学、バイオナノテクノロジー、粘土鉱物、層状化合物
助教 村田 秀信 バイオマテリアル、リン酸塩系セラミックス、超高圧合成、マテリアルズインフォマティクス
2.材料構造物性 教授 森 茂生 相関電子系物質、誘電体、磁性体、イオン伝導体、電子顕微鏡、ローレンツ顕微鏡
准教授 石井 悠衣 構造物性、量子物性、新材料探索、強誘電体
3.社会基盤材料 教授 沼倉 宏 材料の平衡・非平衡熱力学、結晶欠陥、固体における拡散、力学物性、力学スペクトロスコピー
4.ナノテク基盤材料 教授 高橋 雅英 有機-無機ハイブリッド、自己組織化、ナノ材料、スマート材料、溶液プロセス、電子・光機能性材料、ソフトアクチュエータ
准教授 岡田 健司 ナノ材料、多孔質材料、無機材料、有機-無機ハイブリッド材料
助教 深津 亜里紗 有機-無機ハイブリッド材料、ナノ材料、ソフトアクチュエータ、DNA材料、自己組織化、錯体化学
5.先端素形材 教授 金野 泰幸 高温構造材料、金属間化合物、合金設計、組織制御、結晶塑性
准教授 井上 博之 金属の腐食と防食、電気化学測定、地層処分、余寿命予測、電気化学ノイズ法
准教授 堀 史説* 陽電子科学、格子欠陥、照射効果、水素吸蔵、金属材料
6.信頼性材料 教授 瀧川 順庸 ナノ・アモルファス材料創製、ナノ組織制御、粒界塑性、高温塑性
7.電子機能材料EFM 教授 Kosmas PRASSIDES 強相関電子系物質、量子磁性、超伝導、ナノカーボン分子材料、光および圧力応答系物質、混合原子価材料
8.多機能性セラミックス材料 教授 山田 幾也 超高圧合成、触媒材料、遷移金属酸化物、結晶構造解析、新物質・材料探索
9.複合ナノ材料 准教授 牧浦 理恵 ナノ材料、有機-無機複合材料、エネルギー材料、薄膜、錯体化学、電子デバイス、多孔性材料
10.計算材料科学 准教授 池野 豪一 計算材料科学、第一原理計算、マテリアルズインフォマティクス、電子分光、触媒、蛍光体
11.先端高分子材料 准教授 大野 工司 高分子、精密重合、微粒子、コロイド、自己組織化

 

* 大学院は量子放射線工学分野所属

カリキュラム

マテリアル工学科では、持続可能社会に必要な金属材料・セラミックス材料・ハイブリッド材料などの様々なマテリアルに関する専門的な知識を身につけることを目標としています。マテリアルの研究・開発現場において能力を発揮できる思考力、課題解決力、コミュニケーション力と、科学者・エンジニアとして必要な倫理観を兼ね備えた人材を育成するため、自然科学、外国語、一般教養などを中心とした基幹教育科目から、マテリアル工学の専門科目までを体系的に学べるカリキュラムを用意しています。

1年次 「線形代数」「微積分」「統計力学」「物理学」「無機化学」「物理化学」などの基礎教育科目のほか、外国語科目、プログラミング、健康スポーツ科目、教養科目などを学びます。また、化学・物理に関する実験科目では、実験手法やレポートの作成方法について学びます。1年前期の「マテリアル工学概論」では、マテリアル工学科の研究室で行われている研究内容を紹介します。
2年次 「結晶学」「材料物理化学」「量子論」などのマテリアル工学の入り口となる専門科目のほか、研究倫理に関する科目を学びます。
3年次 材料物性・材料化学・材料工学に関する専門的な内容を本格的に学習します。マテリアル工学に関する実験科目では、卒業研究に必要な知識・実験技術の習得をめざします。
4年次 材料物性・材料化学・材料工学の研究を行う研究室に所属し、卒業研究に取り組みます。卒業論文の執筆や、卒業研究発表会での発表・質疑・討論を通じて、マテリアル工学の研究・開発現場で必要とされる基本的な研究能力を身につけます。

 

研究トピック

ダイヤモンド合成に用いられる手法を活用し
新しい触媒材料の開発に挑戦。

多機能性セラミックス材料研究グループ

数万気圧の超高圧条件で物質・材料を合成する手法は「超高圧合成法」と呼ばれており、新物質の合成から人工ダイヤモンドの製造まで、幅広く活用されています。私たちの研究室ではこの超高圧合成法を用いて、水の電気分解などのエネルギー変換反応に用いられる新しい触媒材料の開発を行っています。再生可能エネルギーを用いた水の電気分解は、二酸化炭素を排出しないクリーンな水素製造法として開発が進められており、効率的な水素製造法の実現に向けて優れた触媒材料の開発をめざしています。

電気分解(陽極反応)の模式図

超高圧条件で合成された触媒材料における
水の電気分解(陽極反応)の模式図

 

研究材料のイメージ

研究材料のイメージ

 

在学生の声

実用化をイメージしながら研究できることがマテリアル工学の醍醐味です。

大阪府立大学大学院 工学研究科 物質・化学系専攻 博士前期課程 2年生 川鍋 僚 さん
長崎県立長崎西高校 出身

ものづくりに漠然と興味があり、将来はメーカーで働きたいと考えていたため、あらゆるモノを構成する「マテリアル」を学べるマテリアル工学科への進学を決意しました。化学や物理の知識を基にマテリアルについて学習・研究するうちに、私自身の関心がどこにあるのかが明確になっていきました。現在、化学の知識を用いる分析計測機器メーカーへの就職が決まっており、マテリアル工学を専攻して良かったと実感しています。 マテリアル工学の研究をしていて楽しいと思うことは、身近にある様々な製品が「どのようなマテリアルを用いて」「どのような技術で」作られているのかを知ることができる点です。その対象は自動車などを形作る金属から、私が研究している人の歯や骨の主成分であるセラミックスまで多岐に渡ります。実用化されている製品をイメージしながら研究ができることこそが、マテリアル工学の醍醐味だと思っています。

川鍋 僚さん

 

卒業生の声

マテリアル工学科で得た知識や考え方を活かし画期的な新商品を作り出したい。

大阪府立大学 大学院 工学研究科 物質・化学系専攻 マテリアル工学分野 博士前期課程 修了 大手 里奈 さん
大阪府・四天王寺高校 出身
勤務先 日本製鉄株式会社

土木・建築用の柱や梁に使用されるH形鋼の製造に携わっており、H形鋼の品質の改善と新商品の開発に取り組んでいます。どの業務においても、製品に使用する材料の成分から製造プロセスまで一貫した知識が必要となりますが、学生時代に学んだマテリアル工学の知識が役立っています。 特に、「材料組織学」「材料強度学」「材料設計・制御学」を学んだことで、材料を幅広い視野で捉える目を養うことができました。また、「新しい製品を作るために必要な工程や設備は何か」を提案するのに必要な考え方が身についたと思います。今後は、画期的な新商品を作り、その商品が何十年も社会で役立つところを見るのが目標です。マテリアル工学は、ものづくりをする上で必要不可欠な学問です。材料のミクロな性質や設計から、マクロな製造プロセスまでを幅広く学べます。将来、世の中にない新しいものを作り出したいという人にはもってこいの学問だと思います。

大手 里奈さん

 

主な就職先

トヨタ自動車/マツダ/デンソー/ダイハツ工業/新日鐵住金/神戸製鋼所/川崎重工/三菱マテリアル/日本板硝子/JFEスチール/大同特殊鋼/東レ/住友ゴム工業/日東電工/信越化学工業/村田製作所/ローム/パナソニック/富士通/TDK/シャープ/京セラ/三菱電機/ダイキン工業/川重テクノロジー/西日本旅客鉄道/NTT西日本/公務員 ほか

教育目的

「材料物性学」、「材料化学」、「材料工学」など、世の中を支えている材料を理解するのに必要な学問を学ぶことで、材料の科学と工学の基礎概念と学理を理解し、科学的基礎に基づいたものづくりに必要な材料設計理論、素材の合成技術、組織観察技術、物性や構造の評価解析技術を身に付けた、社会の高度化を担う国際性豊かな創造力溢れる人材を養成する。

学科ポリシー

アドミッション・ポリシー

現代の文明を象徴する様々な機器は、目的に応じたいくつもの「材料」によって構成されている。すなわち、時代の進歩には新しい材料の設計と開発が求められている。マテリアル工学科では、豊かな社会を築くため、最先端の材料に関する教育研究を行うことにより、幅広い視野と豊かな人間性、深い教養と厳格な倫理観をもった国際的に活躍できる技術者・研究者を育てることを目標とする。
したがって、マテリアル工学科では、工学部のアドミッション・ポリシーに加え、次のような学生を求める。

  1. 科学・技術の基盤であるマテリアル工学に強い関心があり、地球環境と調和した豊かな社会の発展に貢献する意欲をもっている人
  2. 論理的な思考力と豊かな創造力の獲得をめざし、勉学意欲に溢れる人
  3. 外国語能力に優れ、国際的視野をもって社会に貢献することを目指す人
  4. 高い倫理観をもって課題解決に意欲的に取り組む人

 

ディプロマ・ポリシー

マテリアル工学科では、工学部のカリキュラムに沿って、以下の能力を身に付けたものに学士(工学)の学位を授与する。

  1. 基幹教育および基礎教育により豊かな教養を身に付けるとともに、マテリアル工学に関する専門能力を備えた人材として社会において果たす役割を認識することができる。
  2. 地球環境保全、資源・エネルギー、情報社会など、あらゆる科学・技術分野の基盤をなすマテリアル工学に関する専門知識と技術を体系的に学び、それらを様々な科学・技術分野の工学に応用できる。
  3. 日本語で、マテリアル工学の専門に関する文章を読み、書くことができ、科学的・論理的な議論ができる。
  4. 英語による、論理的な記述力、口頭発表力、討議などの国際的コミュニケーション能力を高め、異文化との交流を行う対話能力と表現能力を身に付けている。
  5. マテリアル工学に関する専門知識を生涯に亘って、自主的、継続的に学習する能力を身に付けている。
  6. インターネットなどを用いてマテリアル工学の専門に関する情報を収集・分析し、その価値判断をすることができる。
  7. マテリアル工学に関する専門知識を利用することにより、対象とする事柄について工学的手法を用いて分析することができる。
  8. 技術が社会に及ぼす影響を認識し、技術者が社会に対して負っている責任を自覚し、高い倫理観をもっている。
  9. マテリアル工学に関する専門知識を利用することにより、社会の様々な問題を解決するための創造能力を身に付けている。

 

カリキュラム・ポリシー

  1. 「工学部およびマテリアル工学科のディプロマ・ポリシー」の達成を目的として、教育課程を編成する。
  2. 工学の基礎に根ざした学問の系統性と順次性を尊重して、基幹教育科目、基礎教育科目、ならびに専門科目(学部共通科目、導入科目、学科専門科目)により構成される整合性・一貫性を具備し、体系化された教育課程を編成する。
  3. 基幹教育科目の履修により、教養豊かな人間性を涵養し、幅広い学修成果を身に付けさせる。基礎教育科目の履修により、工学を学ぶために必要な自然科学全般についての基盤的知識を修得させるとともに、生涯に亘る学びの基礎を築く。専門科目の中でも、特に物質化学生命系で必要とされる科目を導入科目(無機化学序論、物理化学序論)として指定する。
  4. 1年次では、学生の幅広い学修を保証し、豊かな教養を涵養するために必要な基幹教育科目を中心に配当する。同時に、4年間の学士課程教育の基礎を構築するため、基礎教育科目を適切に配当する。例えば、マテリアル工学に必要な数学・物理学・化学に関する必修を中心とする科目である。また、物質化学生命系に関連した分野で学ぶ学問分野全般を俯瞰する視点を獲得し、2年次以降に学習する専門科目への接続を円滑にするため、1年次にマテリアル工学の入門的な専門科目(マテリアル工学概論)を配当する。
  5. 2年次では、初年次の基幹教育科目と基礎教育科目を中心とする教育で得られた基礎的で幅広い学修成果を、3年次以降のより専門的な科目履修に繋げることを目的として、基礎教育科目(数学と物理学の科目)と基礎的な専門科目(材料物理化学基礎、初等結晶学、材料化学基礎、熱・統計力学、初等量子論)を中心に配当する。また、技術者・研究者としての倫理観を涵養するため科目(工学倫理、環境倫理)を配当する。
  6. 3年次以降では、マテリアル工学科の柱となる材料物性・材料化学・材料物理化学・材料強度に関する専門科目(マテリアル工学実験1,2,3、固体物性1,2、材料化学1,2、材料物理化学1,2、材料強度1,2)を中心に配当し、講義・実験などを通して、マテリアル工学領域における問題解決に工学的手法を用いて分析・応用できる能力を修得させる。また、英語による論理的な記述力、口頭発表力、討議などの国際的コミュニケーション能力、異文化との交流を行う対話能力、表現能力を習得させる(マテリアル工学英語基礎)。
  7. 4年次にはマテリアル工学卒業研究A,Bが必修であり、マテリアル工学分野における最先端の研究テーマを設定して学生の研究意欲を高め、系統的な研究指導により基礎的な研究能力を修得させる。また、インターネットなどを用いてマテリアル工学の専門に関する情報を収集、文章を読み、理解することを通して、科学的・論理的な議論その価値判断をすることができる能力を習得させる。卒業研究履修には履修資格を設定する。

各科目の学修成果は、定期試験、中間試験、レポート、発表等の平常点等で評価することとし、その評価方法の詳細については、授業内容の詳細とあわせてシラバスに記載する。