
受賞情報 Award
消化器内科学の大谷恒史講師が「第52回日本潰瘍学会 学会賞」を受賞しました。
2025年2月22~23日に京王プラザホテル(東京都)で開催された第52回日本潰瘍学会において、消化器内科学の大谷恒史講師が学会賞を受賞しました。
-受賞テーマ-
A型胃炎における胃神経内分泌腫瘍発生の有無に関連した胃粘膜関連細菌叢および代謝産物の変化についての検討
【大谷講師からのコメント】
第52回日本潰瘍学会において、学会賞という大変名誉ある賞を受賞しました。本学会は、大学院生時代に基礎研究の発表を行って以来、毎年参加してきた思い出深い学会であり、消化管炎症や粘膜傷害の機序について多くを学んできた、研究者としての原点ともいえる場です。そのような学会で評価をいただけたことは、大きな喜びであると同時に、身の引き締まる思いです。
受賞対象となった研究では、A型胃炎患者および健常対照者を対象に、16S rRNA遺伝子解析とメタボローム解析を行い、胃神経内分泌腫瘍(NET)の発生と関連する胃内環境の変化を検討しました。その結果、A型胃炎では胃内細菌叢の多様性低下が認められ、特にNETを合併する症例では特定の細菌の増加がみられました。また、代謝解析からはエネルギー代謝経路の変化が確認され、細菌叢と代謝物を統合的に解析することで、A型胃炎および胃NETに特徴的な微小環境の存在が示されました。
本研究は、A型胃炎から胃NETに至る病態を新たな視点から理解する手がかりを示すものであり、将来的な早期診断や予防法の開発につながる可能性があると考えています。これまでご指導いただいた諸先生方、共同研究者、ならびに教室員の皆様に深く感謝申し上げるとともに、今後も消化管疾患の解明と治療戦略の発展に貢献できるよう努力してまいります。

左から、会長 藤原靖弘先生(本学消化器内科学教授)、大谷講師、日本潰瘍学会理事長 内藤裕二先生(京都府立医科大学)