お知らせ
2025年12月16日
森口 慎先生が67th American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting & Exposition に参加し、ポスター発表を行いました。
67th American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting 参加報告
大阪公立大学大学院医学研究科
血液腫瘍制御学 病院講師 森口 慎
2025年12月6日から9日にかけて、米国フロリダ州オーランドにて開催された 67th American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting & Exposition に参加し、ポスター発表を行いましたのでご報告いたします。
ASHは世界最大規模の血液学会であり、基礎研究から臨床研究、トランスレーショナル研究に至るまで、血液学分野の最先端の知見が集約される国際学会です。本学会において私は、
“Development and evaluation of a protein language model-based prediction model for acute graft-versus-host disease in HLA-mismatched hematopoietic stem cell transplantation”
という演題名でポスター発表を行いました。本研究は、日本造血・免疫細胞療法学会における「HLAと移植成績」ワーキンググループ研究の一環として実施したものです。近年急速に発展している タンパク質言語モデル(protein language model) に着目し、HLAアリル配列情報を高次元特徴量として表現することで、HLA不一致同種造血幹細胞移植における急性GVHD発症リスクを予測するモデルの開発および検証を行いました。その結果、従来のHLAマッチング指標では十分に捉えきれなかったアミノ酸配列レベルの情報を統合的に扱うことで、患者・ドナー間のHLA配列情報から急性GVHD発症を予測できる可能性を示すことができました。また、HLAとペプチドが結合する peptide binding pocket がGVHD発症に影響を及ぼしている可能性についても、データ駆動型解析により示唆する結果を得ることができました。
今回のASHでは、強力化学療法適応のAML患者における初回治療としての AZA+VEN療法 のランダム化試験の成績を報告した発表など、臨床的インパクトの大きい研究が多数報告されていました。また、同世代の医師がOral sessionで発表する姿に触れることができ、大きな刺激を受けました。加えて、日本や世界各国の意欲的な研究者、キーオピニオンリーダーとの交流を深めることができた点も、本学会参加の大きな意義であったと感じています。
ASHは、研究成果の発表を通じた学術的交流にとどまらず、国内外の研究者や同世代の血液内科医・移植医と直接意見を交わすことのできる貴重な機会です。特に若手の先生方にとっては、今後の研究やキャリア形成において大きな刺激を得られる国際学会であり、ぜひ一度参加されることをお勧めしたいと考えます。
最後になりましたが、本発表に際して貴重なご意見を賜りました日本造血・免疫細胞療法学会の共同研究者の先生方、本発表の機会をお与えくださいました中前教授をはじめとする医局の先生方、ならびに学会期間中の病棟不在によりご負担をおかけしました大学病院の先生方に、心より御礼申し上げます。
